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そんなびっくり奇想天外な出来事から数時間後が経過――。
「ととととりあえず落ち着きましたたた!!」
「落ち着け」
冷静なトラファルガーさん(私の体)が私を宥める。
トラファルガーさんなのに私自信に宥められていることになんだか自信がなくなってきた。
「俺は慌てるとこんな顔すんのか……」
と分析していることから経験の差は歴然。
本当に何事にも冷静沈着な船長らしい人だ。
「わ、私っ」
「リーシャ、俺と言え」
「お、俺……?」
「よしそれでいい。ずっと俺って言えよ?」
妖艶に笑うトラファルガーさん(私の顔!)
私が笑うとこんな表情になるんだ。
正直言うと色っぽい。
トラファルガーさん(私の体)の話しでは混乱を招くからと私達二人でこの入れ代わりが元に戻るまで外に出ないということだった。
もちろんあの現場にいたベポちゃんにも他言無用と口を閉じさせたトラファルガーさん。
私はあの時確かにトラファルガーさん(私の手)が魚(ワイロ)を渡す瞬間を目撃したのだった。
「なかなか面白いな」
「全く面白くないですよ!」
こんな事態ももれなく楽しんでいるトラファルガーさんに涙が出る。
「この機会にキスでも……いや、やっぱり止めとこう。自分にしてる気になる」
「……同感です」
トラファルガーさんも私も想像してしまいうぅ、とこうたれた。
しばらくするとトラファルガーさん(私の体)が立ち上がり、さて、と呟く。
「どうしたんですか?」
「風呂に入ってくる」
「……え!?ちょっ!駄目ですよぉー!?」
私は必死にトラファルガーさん(私の体)に抱き着き必死に風呂場直進を阻止した。
冗談は体だけで十分だ
(いだぁ!)
(っ!)
(頭が……!、も、戻ってる!)
(同じ衝撃を加えたからか……チッ)
(あ、危なかった……!)
(まぁいい。いずれ存分に裸を見ることになるしな……)
(……っ!)
頭を打って元に戻ったのはつかの間で、危険な言葉と危険な笑みに私は背筋を凍らせ違う意味でまた危機感を感じた私だった。
Title/空をとぶ5つの方法
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