恐怖体験から生還
――バタバタバタ
――ドタドタドタ
はい私今追い掛けられています。
でもいつもと違うのはトラファルガーさんにではなくベポちゃんに追われているということなんです。
どういうこと!?
「リーシャ俺に捕まってー」
「嫌ですー!」
どうやらトラファルガーさんの針がね……いや、さしがねらしく――。
「魚、魚……」
とベポちゃんの目が魚の形になっています。
これは紛れも無いワイロ的なものの取引が行われたことを示している。
「フフ……今回は逃げれねェなァ」
「!……トラファルガーさんっ!」
突然飛び出してきた某外科医の彼が私を抱きしめる気まんまんの体勢で表れた。
――ゴチン!
しかし、私にとっては避け切れるような距離ではなかった為そのままトラファルガーさんの体に受け止められる前に躓いてしまい、頭と頭が鈍い音と共にぶつかった。
きっとトラファルガーさんもいきなりのことに対処できなかったのだろう。
「うー、ん……」
「キャプテン!キャプテン!大丈夫!?」
(キャプテン……?)
ゆさゆさと揺さ振られ痛む額に先程の出来事を思い出す。
「ベ、ベポ……ち――」
「キャプテン!意識が戻ったんだね!大変なんだリーシャが……!」
「へ」
ベポちゃんは私に話し掛けているはずだ。
なのになぜ私の名前が出てくるのか。
「う……痛ェ」
「あ、リーシャ!目が醒めたんだね!」
「あ?……何言ってんだ――」
私とトラファルガーさんはお互いに起き上がり同時に顔を上げた瞬間、開いた口が塞がらなかった。
「わわたわたわたわし……!」
「ま、じか……俺?」
「「入れ代わった!?」」
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