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「前にも似たようなことがありましたね」

「本当だな」



慌ててトイレへ駆け込む彼女を見送ればペンギンの意味ありげな言葉に俺は口元を上げた。少し揺さ振れば予想を超えた反応が返ってくるのでやめられない。



「トラファルガーさんですよね?」

「……あァ。そうだが?」



俺の元へとやって来たのは先程ミーナと名乗った女だった。


「お酌しても?」

「いらねェよ」


相手の好意を一蹴りしたのは俺がお酌をしてほしいのがこの女ではないからだ。



「船長さん、ミーナ姉さんはこの店のNo.1なんですよ!」

「ちょっとやめてなさいよ」


と言いながら満更でもなさそうな女に俺はフッと笑う。


「じゃあこいつに酌をしろ」


そう言ってペンギンを指せばこちらを呆れたように見遣るペンギン。



「……わかりました」



女は薄く笑うとペンギンと俺の間に座る。どうやらぬかりはないようだ。なかなか手強そうだと感じていると隣にリーシャが座る気配がしたので横を向いた。


「なにか飲むか?」

「いえ、いいです」


首を振る動作に俺はそうか、と言うとふいに先程ペンギンに酌をした女がこちらへ向いた。



「あらあらやっぱりかわいいお嬢さんね。私はミーナよろしく」

「あ、私はリーシャです。よろしくお願いします……!」



ミーナが笑いかけるとリーシャもふ、と笑う。この表情一つでも俺の心臓はやはり揺れた。


「あら、貴女着飾ればかなり光る宝石ね」

「え?」


突然女がそんな発言をして目を輝かせるものだからリーシャは汗をかきながら声を漏らす。


「ちょっと衣装室へ行きましょ!」

「ちょっ、あの!」


リーシャの意見はつゆしらず、女はリーシャの手を引っつかむと店の向こうへと歩いて行った。


「いいんですか?」

「あァ」


ペンギンが心配そうに聞いてきたが俺はリーシャの露出した姿が楽しみで仕方がなかった。


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