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つい、リーシャの喜ぶ顔が浮かんで仕方なしに了承した。
でも、前の温泉島のような事にはならないように気をつけなければ。
リーシャと甘い時間を過ごしすという俺の計画はなくなったが(鬼の居ぬまに)、これはこれでいいのかもしれない。
彼女を飲み屋に連れて行くのはあまりいい気はしなかいが。
俺はまた酒を口に付けながらリーシャをどう誘おうかと考えた。









***










「いらっしゃっいませー!」

「えと……」

「リーシャ、別に答えなくていい」



後ろにいるペンギンさんにそう言われ私は慌てて口を紡ぐ。
こんな匂いは嗅いだことなどない。
店内は少ししか人がいなくて、その両側には露出した服を身に纏った女性がいる。
そんな事を思っていれば、私の腰をいつの間にか抱いているトラファルガーさんが一人の女性に目を止めたのが見えた。



「始めましてハートの海賊団の皆様、私はミーナと言います。昼にシャチさんに助けてもらったお礼をしたいのでお酒をタダにさせていただきます」



その言葉に船員達は大喜びの歓声を上げた。
トラファルガーさんは何故か、無表情のままだったけれど。



「では席へご案内しますね」


綺麗な顔立ちでニコリと商売スマイルでカツンとヒールを鳴らす姿に私ですら羨ましくなるほどきらびやかだった。

























「これ美味しいです!」



席へ着くとしばらくして出てきたのは、船員達の酒とは別に生クリームがたっぷりと入っているパフェだった。
正直、数日前にトラファルガーさんに路地裏でキスをされた時から会話がなかなかできなかった為、パフェという助け舟が出てきてくれてホッとしたのだ。
私がこの間のように反射的にトラファルガーさんに笑いかけると――。



「よかったな」

「……っ」



優しい表情で私の頬をスルリと撫でた。
私は真っ赤になり、ふっと俯く。



(は、恥ずかしい……!)



一連の動作が私をドキリとそせるトラファルガーさん。
そんな私を密かに笑う彼の声が鼓膜に響いたものだから、私は慌てて「お手洗いに行ってきます!」と席を立った。


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