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盛り上がり始めた船内に「じゃあ次は俺!」とベポ。
「んっと〜……」
頭をポリポリと書きながらその手には小さすぎるペンを走らせる姿にリーシャはかわいい、と感じた。
「こんな感じ!」
出来上がった内容は、『怖、怖、怖、怖、怖、泣、泣、泣』。
これにはリーシャにも船員達にもよくわからなかった。
「内の船にこんな怖がりな奴いたか?」
「いるよ!」
シャチの言葉にベポは、はっきりと頷く。
「あァ、リーシャかこれは」
「わ、私ですか?」
「うん!さすがペンギン当たりだよ!」
ベポの言葉に周りの船員達もなるほど、と納得する。
そんな中私は少しショックを受けていた。
(私って周りからこんな風に思われてたんだ……)
リーシャの脳内は恐怖と泣くことしかないのか。
と感じながらも何故か自分でも納得してしまう辺りきっとそうなのだろう。
「じゃ次はリーシャね」
「私がですか?う〜ん……」
リーシャは悩みながらペンを渡され書き込んでいく。
「本、本、戦、苦、苦……でどうでしょうか……」
リーシャの書いた脳内にまたもや船員達は悩ましげな声を上げる。
「あ〜、やっぱわかんねェ!リーシャ、答えは誰なんだ?」
シャチの諦めの言葉にリーシャは苦笑いしながら正解を口にした。
「ペンギンさんです」
「ペンギン?本と戦はわかるけど苦って?」
「苦労っていう意味です」
ベポにそう説明するとペンギンが「よくわかっている」と関心したように呟いた。
「じゃあシャチさんもどうぞ」
「よし来た!」
次の相手としてシャチにペンを渡すと腕まくりをしながら紙に書き始めた。
ペンギンはやる気満々だな、と言ってシャチの手元を見る。
するとそこには『リーシャ、リーシャ、リーシャ、リーシャ、戦、変、変』と書いてあった。
「……こ、これって」
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