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「船長……またか」
「フフ……羨ましいだろ」
「全く」
今回の二度目になる船長の手形がくっきりと赤くついた頬を見てため息をついた。
「また彼女に手を出したんですか」
「違う。未遂だ」
「開き直らないでください」
全く懲りていないなこの人。
今度は一体どういう経緯で自称愛のビンタを受けたのだろう。
「昨日リーシャが幽霊が怖いと言って俺の部屋に来たんだよ」
「勝手に心を読まないでください」
さらりと発言する船長にペンギンは頭を抱える。
(絶対船長の方が幽霊より危ないというのに……)
やはりリーシャは天然で無防備だからなのか。
自分が目を光らせておかなければと再び感じたペンギンだった。
***
「あ、リーシャ〜!」
ベポに呼ばれリーシャはてくてくと近寄る。
するとそこには何人かの船員とペンギンとシャチもいた。
「皆さんどうしたんですか?」
「今から面白いことするからリーシャも参加しろよ!」
とシャチがリーシャを隣に座らせた。
「???」
一体何が始まるのだろうと首を傾げていると何やらペンギンが紙とペンを円形になっている船員達の真ん中に置いた。
「今からハートの海賊団脳内予想ゲームを始める」
「捻れよ!」
ペンギンの真面目な言葉にシャチがつっこむがペンギンはそれを無視して説明を始めた。
横でいじけているシャチが見えたが、見なかったことにしよう。
「内容は簡単。ただ誰がどんなことを考えているかをこの紙に書けばいいだけだ。例えば……」
とキュッと紙に丸い形を書いたペンギンは次にその中に文字を入れていく。
「変、女、女、酒、酒、酒、遊……のように単語を書く。さて、これは誰だかわかるか?」
ペンギンの書いた文字に皆がうーん、と頭を捻る。
「あ!……もしかしてシャチ?」
ベポが迷いながら応えた答えにペンギンは「正解だ」と一言。
「俺っ!?なんかひでェ……、あながち間違ってねェけど」
シャチの声に船員一同はペンギンを見ながらおォ!と歓声を上げる。
やはり同じ仲間だからよくわかっているのだろう。
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