03
「あ、ベポちゃんおはよう!」
「おはようリーシャ!」
今日も朝からハートの海賊団には元気な二つの声が飛び交う。
白クマのベポ。
紅一点のリーシャ。
「そういえば、朝から騒がしかったけど大丈夫だった?」
「う、うん!平気だよ!」
朝からベポに聞かれていたことに恥ずかしくなった。
だいたい、二週間前まではリーシャの朝はこれ程騒がしくなかった。
思えば、とリーシャはまだ新しい記憶を巡らせる。
――海軍、メイス・リーシャ。平海兵よりも下の階級で、特に運動神経が良いわけでもない。むしろ民間人よりも弱いとおもう。
しかし、今までなんら問題はなかったし、そこら辺に関しては運がよかったのかもしれない。
でも、運はそこまでだったのかもしれない。少女は今だからこそ思う。
これまた突然、二億の懸賞金をその首に掛けられている、大型ルーキーであるトラファルガー・ロー。
リーシャの海兵としての日常を変えた人物。
初めて会った日から、なぜか付き纏われた。というか、絡まれた。
ゴロツキから助けてくれたと喜んだのはつかの間で、今度は本人がリーシャを口説いてきのだ。
『一目惚れ』の言葉と共に。
最初は冗談を言っているのか、ローがただの女好きなのだと思っていた。
でもストレートに好意を向けられてしまえば、疑う隙どころじゃなかった。
どうして私なのだろうか。その疑問は今も尽きることなくリーシャの頭を悩ませる。だけど、それに整理をつけたと思った矢先にローに誘拐されてしまった。
そして今、海賊に誘拐された悲劇な海兵だと新聞で言われている。
が、別に奴隷や慰めとして扱われたことなどない。逆に、え!と感じる待遇を受けているほどだ。
まぁ、それはこれからの航海で語られていくことだろう。
「あ、ペンギンさん。先程はありがとうございました」
「構わない。それより船長はどこにいった?」
「えっと……」
「おい」
「わ!トラファルガーさん!」
「神出鬼没はやめてください」
「だれが鬼だ」
「なんで漢字を一文字取るんだあんたは」
「え、神の方が神秘的じゃ……」
「頼むからやめてくれ。話しがずれる」
(天然発動)
[ back ] bkm