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ローは普段、夜中に本を読む為起きるのは昼間になる。
最近は朝が早かったからこういうのも久々だ。
そんな事を思っているとふとリーシャの事を思い出す。
彼女は見た目通り怖い話しが苦手だったようでシャチ達が語っている中、やはりローの服の裾を掴みながら涙を溜めて震えていた。
そんな姿に心が悶えたのは言うまでもない。
――コンコン
「あの、トラファルガーさん……少しよろしいですか?」
遠慮がちなノックが聞こえ声の主に目を見開くこととなる。
「どうしたこんな真夜中に」
もちろん部屋へ招き入れたローは何故かそわそわと落ち着きのないリーシャに首を傾げる。
「ひ、昼間に聞いた怪談話しを思い出して……お手洗いから帰れなくなってしまって……近くにトラファルガーさんの部屋があったので――」
なるほど。
ローはリーシャが何を言いたいのかわかり納得する。
それと同時に口元が上がるのを感じた。
「フフ……幽霊より俺を選んだか」
「え?」
小さく発した言葉は彼女の耳に届かなかったようで不思議そうにこちらを見ていた。
「なんでもねェ……」
自分の考えが見透かされているようで少し視線をずらす。
「あ、迷惑だったですか……?」
勘違いを起こした彼女にとんでもないと感じローはいや、と言いながらリーシャをソファへと招く。
「お邪魔します……」
怖ず怖ずとローの隣に座る。
「眠れないのか?」
「いえ、少し眠たいです」
スリスリと目を摩る仕草にぐっときたローは、気づいた時にはリーシャを押し倒していた。
(ついやっちまった……)
「ト、トラファルガーさんっ……!?」
本当に無意識だった為、軽く意識を戻したがリーシャを離す事はしなかった。
「こんな真夜中に男の部屋に来るもんじゃねェ……じゃねェと――」
純粋で真っ直ぐな彼女の無防備な姿にニヤリと笑うとローはその柔らかな頬に口づけを落とす。
「なっ……!」
すると顔を真っ赤に染めて口をパクパクとするリーシャ。
「ククッ……」
そんな反応に笑みが漏れるローはそうとう来ているな、と感じた。
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