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そんな彼女を見ていれば目についたのは頬に付いているジャム。
彼女らしい姿に愛しいと感じながら指摘すると真っ赤に頬を染める。
見ないでと恥ずかしそうに目を伏せるが、ローはもっとその表情を見たくてそっとリーシャの顎に手をかける。
するとローの目に映ったのは自分が思いを寄せている女の潤んだ瞳で。
我慢なんてする余裕もなく彼女に口づけた。
最初は軽くするだけだったが、抵抗する姿すら欲情して深く深く唇を合わせた。
いつもより長く時間をかけたのはもっとリーシャが欲しくて、だから何度も深く口づけたのだ。
もちろん彼女が感じている表情を見るのも忘れずに。
「船長ー、リーシャどうしますかー?」
シャチの声にローは立ち上がるとベポにもたれ掛かっているリーシャを横抱きにする。
「ベッドに寝かせてくる」
「わかりました……」
ニヤリと笑うローに船員達は苦笑いしながら見送った。
***
「なんでリーシャは倒れたんだろうな?」
ローとリーシャが出ていった後、シャチ達は残りのクッキーを頬張りながら呟く。
「さぁな」
ペンギンはわかっていると思っていたが、違うのか。
「でもリーシャ、倒れる前キャプテンの方を見てたような気がする」
「あーあ、やっぱ犯人船長じゃん」
ベポの言葉に相変わらずリーシャにベタ惚れな船長の姿を思い浮かべた。
いつも自信があって女にも不自由しなくて、むしろ寄ってくる、あの船長が一人の海兵に恋をしたことから全ては始まった。シャチは前途多難だと思いながら最後の一口を口の中に入れた。
(まぁ、俺は絶対傍観側でいるぜ)
(なんで?)
(そりゃ船長が怖いからだ)
(シャチ、粉が落ちて行儀が悪いぞ)
(ペンギンって時々母親みたいだよな)
(お前の隠してるエロ本全員に晒すぞ)
(すいませんペンギン様)
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