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「えっと……ここにこうして――」



朝からリーシャは忙しく動いていた。


それはベポの「おやつ食べたい!」という発言から始まった。


その言葉にリーシャも得にやることもなく時間を過ごしていたからじゃあ、とおやつを作る為にキッチンを借りたのだ。



「進んでいるか」

「あ、ペンギンさん」



様子を見に来てくれたのだろう、ペンギンはリーシャの手元を見る。



「はい。本を見ながらなので大丈夫です」


リーシャは笑いながら作業を続けた。



「そうか……そういえば船長はどこにいるか知っているか?」

「トラファルガーさんですか?トラファルガーさんならまだ起きていないと思いますよ」




リーシャが起きた時、すでに当たり前かのように隣で寝ていたローに小さく悲鳴を上げた時も起きなかったから。


「まだか……最近は朝早くに起きていたからな」

「最近?」

「あぁ。リーシャがこの船に来るまでは船長が起きてくるのは昼過ぎだったんだ」

「……それは、随分と――」

「寝過ぎだろ?」

「はい……」



苦笑いを零すとペンギンは珍しく喉を震わせながら「また見に来る」と言って去って行った。


















それから私は生地をオーブンに入れ、ふぅーと息をつく。




「甘い匂いがする……」

「わっ、トラファルガーさん!」



突然気配なく現れるものだからリーシャの心臓が飛び出すかと思った。


「何を焼いているんだ?」


「クッキーですよ。トラファルガーさんも食べますか?」


「あァ……」

「……な、なにか?」



返事をしたローがリーシャの顔をじっと見てくるのでたじろぐ。



「顔にジャムが付いてるぞ」

「え!……どこにですか?」



多分、クッキーに付ける為のジャムが付いてしまったのだ。
リーシャは恥ずかしくなりジャムを取ろうとするとローがその手を掴む。


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