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「それは聞けねェなァ」



ローはこんな状況でも口元を上げている。



「……っ」



先程大佐に打ち付けられた時の恐怖が蘇りカタカタと震える身体。



「どうした?――お前……!」



リーシャの様子に気がついたローは、ある一点を見つめるとそこへ壊れ物を扱うようにスッと――。





「この怪我、どうした」

「こ、これはっ……!」



手をリーシャの額に触れさせながらゾクリとする声色で聞いてきた。
額を大佐に打ち付けられた時に打ってしまったようで少し赤くなってしまったようだ。
でも今はそんな事を考えている場合ではない。
なぜならリーシャの額を見た途端、ローの表情が鋭くなったからだ。



「もう一度チャンスをやる!おとなし――」

「ROOM」



カチャリと耳に金属音が聞こえた時にはすでに大佐はロー能力によってバラバラにされていた。



「な、なんだっ!?」



当たり前ながら驚きの声が聞こえた。
それに対してローは薄くニヤリと笑い更に大佐を細かく輪切りにする。



「た、大佐ァ!」

「トラファルガー・ローを討てェ!」



大佐がやられたと知った海兵達はバタバタとこちらへ近づいてくる。



「ト、トラファルガーさん……」

「なんだ」



大佐に向けた笑みとはまた違う表情をリーシャに向けられ、先程つい勢いで持ってきてしまった紙を渡す。



「これ……」

「……なるほどな」



ローは紙を受け取るとリーシャを抱え直し、迫ってきた海兵の目の前に紙を晒す。



「ぬァっ!」



突然の事に驚いたのか海兵が立ち止まり困惑しているように見えた。



「これ、お前達の大佐さんのだとよ」



皮肉を言いながら海兵に紙を見せるローにリーシャは不安になる。



「お前達の大佐は人身売買やってんだってなァ?」



ローの言葉に海兵は目を開きまじまじと紙を見る。
海賊に真実を聞かされ目を丸くする海兵などなかなか見られないだろう。


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