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「いたっ!」



ガン!と机に体を押し付けられる。
リーシャは痛みに顔を歪めた。




「秘密を知ってしまった君は――本当に残念だよ」




カタカタと恐怖に体が揺れ、リーシャは大佐を仰ぎ見る。



「そうだな、ちょうどこの町には海賊がいる。そいつらに君は殺された事にしようか」



大佐の言葉に浮かんだのはロー達。
罪を彼らに着せようとしているのか。
海軍がこんなことをしているなど、誰が思っているのか。



「君を売ったらさぞかしいい値がつくだろう。なんせ海賊に誘拐されたと新聞に乗った女だからね」




「ひっ……!」



自分も売られるのだと理解したリーシャは悲鳴を上げる。
涙を流してなお大佐は楽しそうに笑っていた。

嫌っ!!


もう言葉にはできない恐怖が頂点に達した。








「な、なんだ!?」



大佐の驚いた声が聞こえた。
またやってしまった。
前に感じた感覚に悪魔の実の能力が出たのだとわかった。
そう思うと同時にリーシャは大佐をすり抜け、開いている扉目掛けて走る。



「っ、しまった!」



大佐の声を聞きながらリーシャは死に物狂いに走った。
本当に死に物狂い走った。





(はぁはぁはぁ……)



息が上がっても走り続けた。
大佐が後ろから追いかけてくる。
何故か海兵達を呼ばないことを不思議に思ったが、今は考えている余裕なんてない。




「この羊が!!」



リーシャの肺活量が少ないせいですぐに減速してしまったところで距離が縮まってしまった。
ものすごく怖い顔をして追いかけてくる大佐に「メェ〜!!」と泣きながら必死に逃走する。







「ROOM」




久しぶりに聞いた声。
リーシャは一瞬だけ浮遊感を感じて温かい体温に包まれる。



「!!――貴様、トラファルガー・ロー!?」



いつの間にか人間の姿に戻っていたリーシャを腕に抱き抱えてニヤリとあの笑みで笑っているローだった。



「逃走ライフは楽しかったかリーシャ?」

「うぅ……」



今の状況でそんな事を聞くローにリーシャは何も言えなかった。



「そこの女性を直ちに離せ!」



大佐の声にリーシャは顔を動かすとそこにはこの騒動を聞き付けたのだろう海兵達が沢山いた。


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