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大佐にゆっくりとしていて下さいと言われたが――落ち着かない。
もしロー達が海兵達と戦っていたら。
そんな考えが脳裏をうめつくす。
最も、原因を作っているのは自分なのだけれど。
リーシャはそわそわとして、体を動かした。
そしてウロウロと部屋を動き回る。



「どうしよう……やっぱり逃げない方が良かったのかな……」



不安が募る。
足を動かしているうちにドンと大佐の机にぶつかってしまった。



「いたっ!……私って本当……」



自分のドジに肩を落とす。分かっている。
リーシャは昔からなにをしても駄目だ。
リーシャはネガティブな思考に捕われる。


「……あれ?なんだろ……?」



顔を上げたリーシャの目に写ったのは机の引き出しから少し出ている紙らしき先端だった。
先程ぶつかった拍子に動いてしまったのだろうか。それならばとリーシャは紙を引き出しに戻そうと思い、引き出しを開けた。



――ガラッ



「うん、よし――」



元の場所へ紙を戻したリーシャは自然と紙の内容を読んでしまった。
別にそんなつもりはなかったのに。



「じんしんばいばい?」



上手く脳が処理できなかったせいで最初意味がわからなかった。



「人身売買……!?」



紙には人身売買リストと書かれていて、サイン明記には――。



「た、大佐……?」



海軍が関わっていた。
ふらりと目眩を感じリーシャは後ろへ身体が傾いた。



「嘘、そんな……」

「嘘ではないよ。メイスくん」

「っ……!」



突然聞こえた声にリーシャが顔を向けるとそこには、優しい顔で目が笑っていない大佐が立っていた。



「た、大佐……!」



リーシャはその言葉しか言えなくて、恐怖に足がすくんだ。


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