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27


ローは羊を入れると荒らされた部屋を進み、リーシャがいる“はず”のシャワールームへ向かう。
本当はいないのだろうとわかっていたが、念のためというより自分の考えていることが確実だと確かめる為だ。



「やっぱりいねェな」



やはりシャワールームには誰もいなかった
もしかして、が確信に変わった瞬間。
あの敵船に能力はいなかった。
だから考えられるのは一つしかない。



「能力だったのか……」



リーシャが悪魔の実を食べていたという事実。
彼女はそんなことは話した事もなかったし、話す義理もないだろうが。
悪魔の実を食べた人間は拒絶するか受け入れるか、それで二つの人種に分けられることもある。
リーシャの場合はわからないが、少なくとも喜んでいるようには見えなかった。
ローはそう考えながら、ゆっくりとリーシャであろう羊の元へ戻る。
ローがリーシャがいる場所を見ると、プルプルと震えている羊が本棚の隙間の陰に隠れていた。



「怖い思いをさせてすまねェ……」



今思えば、リーシャと最初に出会った時に触れたお尻のあのフワフワとした感触は羊の尻尾だったのだと知る。
確かに驚いたが、今となってはどうでもいいことだとローは悔やむ。
こうなったのは全て自分の責任だ。
船内に敵を入れたのも、リーシャが怯えているのもローの力不足だ。
ローが優しくゆっくりとリーシャに近づき、今は獣型の姿の頭をゆるりと撫でる。



「お前が羊になったって俺はお前を好きなことは変わらねェ。だから泣くな」



ローが頭を撫でると同時にポロポロと涙をこぼすリーシャ。



「っ……怖かった、です……!」



一瞬で元の人間の姿に戻ったリーシャはローの胸に顔を押し付ける。



「本当にすまねェ……」



ローはリーシャをふわりと抱きしめ背中を撫でた。








***






「……どういうことだ?」




「さぁな。船長が何か説明するだろ」

「俺、あれリーシャだと思う」

「はァ?リーシャ?」



ローと羊が船長室へ消えた今、船の船員達は困惑しきっていた。
終いにはベポの言葉が更に混乱を招く。



「……あ、キャプテン!」




ベポの声に船員達は全員ローが出てきた扉へ顔を向ける。


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