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「くそ!ばれた!」

「ちくしょォ!」

悔しがる男達にローは近寄り、問いをぶつける。


「羊なんて担いで何をしてる?」

すると男達は怪訝な顔をした。

(意味がわからねェ……)


なぜこちらにそんな顔を向けるのか。

「答えろ」

睨みを利かせたローに男達は怯え、ゆっくりと口を開く。

「シ、シャワールームにいたんだよ……!」

「……!?」

シャワールームという言葉に驚きを隠せないロー。


「なに……?」

「お前らの買ってる家畜だろ……!――返すから命だけは「メェー!」



余計にわからない言葉に戸惑うロー達だったが、羊の鳴き声で我に返る。
シャワールームにはリーシャがいたはずだ。
ローはそこで今だに担がれている羊をよく見た。
羊の目からはポロポロと涙がこぼれ落ち、体は怯えたように震えている。
その姿はまるで、リーシャを思わせた。



「………」

「船長、どうします?」

ペンギンが聞いてくる。
ロー達は羊など飼った覚えなどない。
しかし、引っ掛かる点が多過ぎる。

「……その羊を連れてこい」

微かな確信にローはペンギン達へ指示を出す。

「アイ〜!」

それと同時にベポの蹴りが男達に入る。

「ぐわっ!」

「ぶっ!」

見事にヒットした攻撃に倒れた男二人。

ベポは羊を華麗にキャッチするとローの所へ駆け寄った。

「……行くぞ」

ローは羊をちらりと見ると自室へと向かった。



***



(助かったのはいいけど……)



今度は困り果てているリーシャ。
恐らく、正体がバレている可能性が高いだろう。

「メェ〜……」

「大丈夫!キャプテン優しいから!」

なにか勘違いをしているのか力無い鳴き声にニコリと笑い掛けるベポ。

(ベポちゃん……言葉は通じないのかぁ……)

もしかしたらと淡い期待をしていたリーシャは再びがくりとうなだれる。

「あっ!キャプテンの部屋が荒らされてる!」

「……そうだな」

「キャプテン、リーシャは大丈夫かな!?」

「……ベポ。その羊を降ろしてクルー達の様子を見てこい」

「?、アイアイキャプテン」

ベポの問いに答えないローを不思議に思ったベポは、納得しない顔でドタドタと向こうへ走っていった。

「……入れ。言葉はわかるか?」

「……メェ……」



リーシャは渋々ながら返事をしてローの自室へと足を踏み入れた。


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