19
ロー達が買い物を終え、宿であるホテルに帰ってくると、シャチが待っていた。
「買えたのか」
「もちろん!……長かったぜ……」
げっそりしながらペンギンに温泉まんじゅうを渡すシャチ。
リーシャはシャチにご苦労様でした、と声を掛ける。
「温泉入ったら皆で食べよーよ!」
ベポがうきうきとした様子で言う。
「そうですね」
リーシャも賛同し、四人は部屋へ向かった。
***
「あれ?何をしているんですか?」
今しがた、温泉から上がったリーシャは、部屋へ戻る帰り道でポンポンと何かが跳ねる音を聞き、そこへ向かった。
「お、リーシャか!今な、俺達卓球ってやつをしてんだよ!」
「たっきゅう?」
聞いた事がない言葉にリーシャは首を傾げる。
「卓球だ!リーシャもやってみるか?」
「……やってみたいです」
リーシャは自分でも珍しく、わくわくとしながらキャスケットからラケットを受け取り対戦相手のペンギンを見た。
「ペンギンさん……お手柔らかにお願いします」
「わかってる」
ペンギンは少し笑うと軽く球を打つ。
「えいっ」
しかしリーシャのラケットには当たらなかった。
「もう一回だな」
「はい。――えい!」
今度は的確にラケットへ当たったが、テーブルを飛び越えてしまった。
「すいません……」
申し訳なくなったリーシャにペンギンは苦笑いする。
「初めはこうゆうものだ」
「は、はい……」
(ペンギンって紳士だよな……)
シャチは二人を見ながらそう思った。
「これからだ」
「は、はい!」
ペンギンのどこかにあるスイッチが入ったのか、なぜか特訓モードになっていた。
真面目だが、そうゆうところが玉にキズだとシャチはため息をつく。
しばらくの間、リーシャとペンギンの声だけが部屋に響き続けた。
***
「はぁ……」
「?……どうした、汗掻いてるぞ」
部屋に戻ったリーシャはペンギンによるスパルタによって汗がびしょびしょだった。
それに同室のローは怪訝な顔をして見る。
「あ、これは卓球というのをしていたからです……」
「卓球?あァ、あのピンポン球を打つゲームか」
「はい、ペンギンさんがスパルタだったので」
「あいつはああいう類には厳しいからな」
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