17
リーシャがその顔をぼーっと見ていると、少しずつローの顔が近づく。
そして、気がついた時にはローの唇とリーシャの唇が重なっていた。
「ん……はぁっ……まっ――」
リーシャの唇を啄むように合わせるロー。
息が苦しくなり、口を開けた瞬間、舌が入ってきた。
「うむ……っ」
歯列の裏を撫でられる。
リーシャは腰を引いて逃げようとしだが、ローの手がリーシャの頭の後ろに固定されたことにより叶わない。
いつの間にかリーシャの腰には腕が回っており、ローと正面を向いていた。
更にキスが深くなり、息苦しさが増す。
「あっ!、ト、トラファ……!」
苦しさで涙目になるリーシャはやっとのことで解放され息ができるようになった。
「はぁはぁ……」
くたりと力の抜けたリーシャはローの胸に寄り掛かりながら息を整える。
「フフ……苦しいか?」
「は、いっ……」
リーシャがくたくたなのに対し、ローは全くという感じでけろりとしていた。
(いい、今のってディープキス、だよね……)
あまりの濃厚なキスにカァァと体が熱くなっていくリーシャ。
初めての感覚に恥ずかしさが込み上げてきて、リーシャはローの顔が見れないと、胸元で顔を隠した。
その時のローは至極満足そうな顔を浮かべていたとか。
***
「………っ」
朝、起きると目の前にローの顔があった。
毎回そうだが、慣れない。
首筋に息が当たってなんだかくすぐったい。
「ん……」
身じろいだせいか、ローはゆっくりと瞼を開けた。
「起きたのか」
「はい……」
寝起きの掠れた声に一瞬どきりとなる。
あぁ、自分は昨日からおかしくなってしまったのか。
リーシャは優しい目で見てくるローから目線をずらす。
「ククッ、昨日は楽しかったなァ」
「た、たのっ!?」
その言葉の意味がわかったリーシャはボンッと顔が赤くなった。
(こ、この人はっ)
さらりと言うローにリーシャはどぎまぎしてしまい。心臓がばくばくと波打つ。
くすりと笑うローにリーシャはこれから自分はどうなるのだろうと心配になった。
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