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それにしても、とリーシャはローをそっと見る。
普段、パーカーにジーンズという格好なのに、今は胸元は開けていて、妖艶さが満ちている。
帽子も被っていないこともあり、全体的に姿が様になっていて、ローはやはり顔立ちが整っているのだと改めて思わされた。
「ん?」
パチリと目が合ってしまい、リーシャはハッと我に帰る。
「酒もっと飲むか?」
「も、もういいです……!」
慌てて断り、リーシャは見とれていたことを悟られないように笑って取り繕くろう。
(いつのまにか近くなっているし……!)
ローの腕がリーシャの腰に回っており、そのことに気が付かなかったリーシャはその行動に驚かされる。
「あ、あの!少し風に当たってきますね!酔ったみたいですしっ」
「俺も行く」
これ以上密着されると心臓がもたないと感じ、リーシャは慌ててローから離れようとするが、間入れずにローが一緒に、と言い出した。
「え、や、いいです……!大丈夫ですからっ!」
リーシャはそう言うやいなや、ローの言葉を待たずに急いで居間から出ていった。
***
「チッ……」
居間から出ていったリーシャを見ながらローは酒をぐいっと煽る。
「からかうからだ、船長」
「からかってねェ。少し体を寄せただけだ」
付いていきたかったと顔に出して拗ねているローを見ながらペンギンはフッと笑った。
「彼女の顔が赤かった」
「あァ、いいもんを見た」
にやりと笑うローを見たペンギンは首を動かし周りを見る。
(もうすぐ来るな)
何がと思う前に、すでに火蓋は切って落とされていた。
***
ローがリーシャを弱愛しているなど、ハートの海賊団にとっては周知の事実である。
だからローが今、この場所にいる女達に全く興味を持たないのはわかっていた。
わかっているのだが、俺だって楽しみたい!と息を荒くするシャチ。
シャチは自称ムードメーカーと言っているが、毒舌なペンギンにお前はトラブルメーカーだろ、と言われている。
確かによくヘマをするが、ベポやリーシャ程ではないと思う。
ベポにそんなことを言うとへこむだけだが、リーシャに言うと泣きながらすみません、と謝られるだろう。
そんなことになれば、俺は船長に殺されるとシャチは確信している。
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