12
「……なんだ」
「この子達が、俺らと飲みたいって――」
「あ゙?」
「うっ、え〜っと……」
シャチの言葉にローは更に顔をしかめ、ギロリと睨み付けた。
(馬鹿だな……)
ペンギンはシャチに呆れる。
すると、そこに他の船員達がやってきた。
「あれ?どうしたんだ?」
ぞろぞろと歩いてきた船員達はロー達と、そこにいる女達を交互に見る。
「いや、なんかこの子達が俺らと一緒に飲みたいって言ってきてよ」
シャチは軽く涙目で説明する。
すると状況を理解したのか船員達は俺らも飲みたい!と騒ぎだした。
「どうするんだ船長」
ペンギンがローに話し掛ける。
ローは嫌な顔をしながら舌打ちをした。
「少しだけだぞ」
その言葉に船員達は大盛り上がり。
女達は他にも友達もいるからと、呼びに行った。
「いいのか船長」
「あいつも男だけしかいねェのはつらいかもしれねェからな」
そう言って、自分に言い聞かせるようにしているローにペンギンははぁ、とため息をつく。
あいつとはリーシャのことだろう。
確かに女一人で食べるのも少し可哀相かもしれない。
女達は絶対に船長目当てだ。だから自分が目を光らせておこうと思ったペンギンだった。
***
「かんぱーい!!」
カチン、とガラスのぶつかり合う音が響いた。
先程、リーシャが温泉から上がってきて、すぐに事情を説明したロー達。
その後、リーシャの温泉から上がったばかりの姿を見て、飛びつこうとしたローをペンギンがべりっと引きはがし、ホテルと言うより和風のような居間に向い、そこで一気に全員盛り上がり始めた。
「す、すごいですね……」
若干顔が引き攣ってるリーシャを見ながらペンギンをため息をつく。
「すまない。船長は仕方なくこうしたんだ。許してやってくれ」
「いえ、そんな……」
リーシャは最初、居間を開けた瞬間驚きに目を見開いた。
なぜなら、温泉へ入っていた時に18禁の用語を使っていた女性達がいたからだ。
まさかすでに行動に移しているなんて思わなかった。
リーシャなら、まず顔がどうのこうのの前に、海賊には絶対に声など掛けはしない。
(大胆だな……)
自分なら絶対無理だと思ったリーシャだった。
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