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リーシャはもう20歳だが、そんな言葉に免疫がない分、耳を塞ぎたくなった。
(公衆の場なのに……)
そんなことはお構いなしと、女性達は更に18禁の話に盛り上がっていた。
***
「キャプテンもそれ着たんだね!」
その声に目を動かすと、温泉から上がったばかりのベポがこちらへやってきた。
「あァ、せっかくだからな」
「アイアイ!やっぱり温泉といえばこれだよね!」
今ロー達が着ている服は動きやすい温泉服だ。
祭に着るはっぴのような形をしているが、白くて柔らかい。
「あ、船長!」
次いでやってきたのはシャチとペンギン。
二人も同じ格好だ。
「いや〜!いい湯だったなー!」
「お前はおっさんか」
ペンギンにつっこまれたシャチは頬を膨らませながら、別にいいだろ〜!とふて腐れる。
「キャプテン、もしかしてリーシャを待ってるの?」
「まァな」
当然というようにニヤリと笑うローにベポ以外の二人が苦笑する。
「抜かりないな」
「だな。相部屋だけど大丈夫か?」
「……大丈夫だろ」
「お前今多分、とか思っただろ」
シャチとペンギンはそんなやり取りをしながらローを見ていた。
「あの〜……」
「あん?」
シャチは突然声を掛けられ後ろを向く。
そこには一人の女とその後ろには三人の女がいた。
「もしかして、ハートの海賊団の皆さんですか?」
「あァ、そーだけど」
シャチが答えている横で見ていたペンギンはその女達を見て、もしやと感づいた。
ローはモテる。もちろんそのローの船に乗っている自分達や船員達も例外ではない。
だからこういう類の女達に声を掛けられることもあり、今回もそうだろうと感じた。
しかし、今回はそう簡単に事は進まないだろう。
今までとは違い、今ではリーシャという存在がいるからだ。
ペンギンはそこまで考えると鼻の下を伸ばしているシャチを見る。
「わぁ!やっぱりですよねー!私達皆さんのファンなんです〜!!」
(やっぱりか……)
ペンギンは予想通りの展開にちらりとローを見た。
そこには思った通り、塵にも女達に目もくれないままリーシャを待つロー。今か今かと、入口をじっと見ていた。
「船長ー!」
シャチがローに声を掛けると、ローはこちらを見て、一瞬で怪訝な顔をした。
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