06
ローがリーシャにアイスを買い、リーシャはそれを食べながら歩いていた。
「なんだか、は、恥ずかしいですね……」
ローとリーシャの手は以前二人がした恋人繋ぎというもので、外から見れば――。
「フフ……、デートなんだから気にしなくていい」
「へ!?デ、デート!?」
ローのデートという言葉にリーシャは驚く。
(い、いつの間に……)
デートだなんて……、ただの買い物だと思っていた。
とローをじっと見る。
「まぁ。お前はのんびりと、密着していればいい」
(え!)
「みみみ、密着だなんて!遠慮しますっ!」
なんだかなまめかしい雰囲気というか、オーラを放つローにリーシャはたじろぐ。
「フフ……、そう警戒するな」
ローはそう言うと、リーシャのアイスを見た。
「俺にもそれをくれ」
「え?でも今私、口をつけ――!」
言葉を言い切る前にローはリーシャがアイスを持っている手を掴み、ガブリと食べた。
「あっ!」
「ごちそーさん」
最後にローは唇をぺろりと舐め、同じ目線の状態でリーシャを仰ぎ見た。
「っっ!!」
恥ずかしくて逃げたしたくなる衝動に陥ったリーシャは慌ててバッと下を向いた。
(トラファルガーさん絶対わざとだよ……)
そんなことを思っている間、ローは下を向いたリーシャに口角を上げ、真っ赤になったリーシャの耳を見ていた。
(ククッ……、照れてんな)
そしてローは真っ赤な顔をしているのであろうリーシャの手を再び握り、歩き出した。
「あ、あの、トラファルガーさん」
「あ?なんだ」
「こ、こんなに服……」
「それぐらいが普通だ」
「ふ、普通っ?!」
リーシャが驚くのは当たり前で、ローの片手には紙袋が二つ、パンパンにはいっていた。
(絶対違うよね……?)
リーシャはそう思うものの、それ以上は言わなかった。
「あれ?キャプテンとリーシャ?」
「あ?ベポか」
名前を呼ばれ横を向くとそこにはアイスを持っているベポがいた。
「わぁ!たくさん買ったんだ?」
(やっぱり多いんだ……)
ベポの言葉に確信したリーシャはチラリとローを見た。
「……ベポ」
「っ!アイアイ!」
ローの一睨みにベポはビクリと反応する。
「これを船に持っていっておけ」
「アイアイ!了解っ!」
ベポはローが持っていた紙袋を掴むとすたこらさっさと走っていった。
「あ、ベポちゃん……」
リーシャはベポに悪いことをしてしまったと罪悪感を感じていると、ローがグイ、と手を引っ張ってきた。
「きゃっ」
グラリと体が傾きローの腕がリーシャの反対側の肩に乗る。
今の状態はローがリーシャの肩を抱いているので更に体と体の密着度が深くなり、隙間がない。
「ト、トラファルガーさん……?」
突然の事に戸惑いながらローを見る。
「デート中に他の奴を見てんじゃねェ」
「……え」
するとローが少し拗ねているような表情をしていた。
(ベポちゃんは白クマなのに……、奴って)
深くにも、
そう、深くにも今リーシャはキュンとしてしまった。
「トラファルガーさん……」
「ローだ」
まただ。
よくローはリーシャに名前を呼ばせようとする。
リーシャは恥ずかしくてとても名前が呼べるわけがない。
「えっと……――」
「いたぞ!トラファルガー・ローだっ!!」
リーシャが頑張ってローの名を言おうとした時、突然他の者によってくしくも砕かれた。
「チッ、せっかくのデートを邪魔しやがって」
いい雰囲気をぶち壊され、額に青筋を浮かべるロー。
そんな二人の甘い雰囲気を壊したのは、皮肉なのか、海兵達であった。
「逃げるか」
「へ?」
あれやこれやと次々に起こる出来事についていけないリーシャはローに担がれる。――のではなくお姫様だっこをされていた。
「え、えぇぇえーー!!」
(誰か説明をお願いします!)
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