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冒険だー


ブラウンイエロー、ミルクティー色の瞳がこちらを射抜く。
そんなの慣れてるから怖くなんてないもんねっ。
暫くするとたしぎが戻ってきてスモーカーに絶望しまたローに迫った。
しかし、ローはまた例の技でやり過ごし難なく済ませる。
本当、乱暴だ。
こんなのと紙の上では縁を結んでいるなんて、あーヤダヤダ。
ふう、とわざとらしく溜息を吐き彼に向けて再度言い放つ「で、どこのどなた?」を発動。
漸く苛立つ顔でなくなり冷静になったのか腕をグイーンと握ってくるので無礼者だと罵る。

「まさか、本当に覚えてないのか」

そんなわけあるか。
記憶喪失にはそんな都合良くなりませぬ。

「離しなさい、不敬ね」

蔑む眼を向けて振り払う動作。
やはり離さないつもりなのか離れない。
嫌がってるんだから離せよ。

「トラ男ー!」

あ、ルフィのご登場だ。
ローは麦藁屋、とぼそりと言う。
ルフィにとっては彼はもう友達の認識だ。
そこでルフィはこちらも見つけて名前を呼んでくれる。
名前を呼ばれて有頂天になる。
だって、あの、ルフィに、呼ばれるのだ!
こんなに幸せな事はない。

「ルフィさん!ルフィさーん!」

様と付けたいが嫌がられるだろうから。

「おー、何でお前も此処に居るんだ?」

ルフィに説明をして納得された。
ついでにリーシャも茶髭の背中に乗る。
ロー?ローは間抜けな瞬間に抜け出したので知らん。
どうでもいい。
ルフィより上はないので放っておく。
今の最優先は麦藁である。
リスペクト必須。
何が何でも付いて行くし見逃さない。

「麦藁屋、その女は」

「トラ男、俺の仲間の行方知らねーか?」

プークスクス遮られてやーんの!
ローは話し掛けて問うのを止め、ルフィにあっちへ行く様に言う。
茶髭が助けてくれの顔をするが彼は全てを無視。
当然だ、別に仲間でも、慣れ合ったりした事も、するつもりもないのだろうし。
茶髭は虚しくまたタクシーになる。
ほら、働け働け。
真実を知るその時まで。
ローがこちらをちらりと見たがそんなの気にする様な繊細さは持ち合わせていない。
向こうへ行くとナミ達がパニックを起こしていた。
何せ、精神が入れ替わってるんだもん、同然だ。

「なはははは!」

ルフィは笑った、ナミは怒った。
混沌としている。
和やかな一コマ、そこに這い寄る影。
あー、そういや居たな、雇われた二人の巨人が。
些細な事過ぎて記憶から抜けていた場面。

「フランキーさん!あ、じゃなくてナミさんー!」

叫んでも助けられないので大人しく奪還を待とう。
暇である故に残りのメンバーとで待つ。
あー、あれ何か忘れてるような。
此処に居ては本末転倒な事を忘れているせいで何故此処に居てはいけないと思うのだろうと必死に思い出そうとするが七十巻以上の一冊分の詳細を事細かに覚えている程読み込んでいない。
ましてや、マンガは誰かから借りたような記憶があるので己の持ち物ですらなかった。
モヤモヤとした不確かな記憶であるがそう思うくらいには読み込んでない。
放送されている分も加えて覚えているので辛うじて対応出来るのだ。
思考にふけ っているとルフィ達が戻ってきた様で居残りメンバーが声をかけるのが聞こえた。
それに習い顔を上げると笑顔から堕落した天使の如き破顔を構築。
突き落とされる感覚とはこの事か。
目に写るのは疲れ切ったナミ、ルフィ、チョッパー、そして、ロー。
現実逃避したーい。
そうだ、だから離れていた方が良いと記憶が揺れたのだ。
うっかり失念し過ぎだ自分。
ルフィが合流した仲間にこいつと同盟を組むというので辺りは騒然となる。
それは知っていたがどうこうなるものでもないので放置。
ローをバッシと叩くルフィ。
もうペースに呑まれているのやもしれん。
こちらを一瞥しないままこのまま計画を話すのかと思いきや、ローと眼が合う。
忘れていたのかと思いきやな行動に次いでローの口から「この女のことをどこまで知っている」と言い始め背筋にイヤーな物が這う。
ヤメロ言うな。

「海で釣ったら釣れたんだ。にしし」

得意気に経緯を話されたローは眉間に皺を寄せて苦悶な声音で言い放つ。

「そうか。妻が世話になったな」

げ!言いやがったぜこいつぅ!
そして声が合わさりカエルの合唱一味。

「妻〜!?」

そりゃそんな反応になるよね。
今や王下七武海にまでのし上がったんだもの。
皆の視線を一心に受けてオヨヨ、とハンカチというアイテム片手に語る。

「涙無しには語れない話なんです。その男とは仕方なく結婚しました。有り体に言えば政略結婚ですぅ」

涙声で演出。
それに同情を寄せてくれる人ーーいやかなーり同情してくれる人が一人居た。

「なァにィ!?許せん!女の結婚を無理矢理なんて!」

皆さん想像通りのサンジでござい。
そーなんだよね、ローの独壇場ではないのだよ。
ルフィに振り回されている上にサンジまで相手に彼は好き勝手こちらを操れない。
成り行きの行動だったとはいえ強力な後ろ盾が出来たのは幸いだ。
ローはこちらをねめつけて僅かに怒気をたゆらせて見てくるがそれさえも震えてみせる。
逆効果逆効果。
これで麦藁達はローとリーシャの関係を察してローとは接触させぬ様に計らってくれるだろう。
くひひ、演技勝ち。
魔女みたいな声が出るが許してほしい。
ローに対して上手に逃げられればそりゃあ高笑いもしたくなるのだから。
後で反撃される確率は格段に高いが今の所は彼等を防波堤にしておくから安全に行ける。
彼等に引っ付いて居ればローからの言及はないだろう。
彼を知り尽くしている訳ではないがそれなりにプライドを持っているのは知っている。
ふふん、これぞ女であるが故に使える技だ。



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