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恋と変って似てるよね


準備体操を済ませると眠るなんて勿体ない事はせずにその時を待った。
そして、その時はやってきた。
麦藁海賊団が緊急時のSOSの信号を受信しパンクハザードへと行く。
それに伴い海兵等も来てしまうことをすっかり失念していたのは単に記憶が曖昧であっただけだ。
パンクハザードに着くと当然捜索班と留守番に振るい掛けられ、リーシャは見た目が一般人で尚且つまだチョッパーからドクターストップが解けていないので自動的に留守番である。
医者でなくても遭難者である女が一時間ちょっとで体力が回復するとは思えないので妥当。
初めから留守番組で行動を供にする予定だったので安堵する。
違ったら過激ハードな濃い一日を過ごすことになるのだ。

「皆さんいってらっしゃい」

チョッパーは話の筋と理由が違い、リーシャがまだ万全でないので残ると言った。
嬉しかったが予定が変わってはいないが、話と違うことになったとは申し訳なく思う。
これで眠らされる組になるのは決まった。
その間意識が無くなるのが些か不安だが、どうする事も出来ぬので眠るしかない。

「体調に違和感を覚えたら言うんだぞ」

チョッパーに何度も言われ苦笑に変わる。
此処まで世話をされたのははじめてかもしれない。
なにせ、ハートの人達は医者気質なので病気になったりするのも滅多にない。
怪我をしても己達で補う上に自分は戦闘に出ない非戦闘員、怪我をしない身の上。

「ほら、サンジがデザート作ってくれたぞ」

差し出されたのはゼリー。
プルンとしていて食べやすい。
ソレを有り難くモグモグとして租借。
美味しい、流石だ。

「苺味ね」

「ナミはオレンジ味だった」

船医が話し相手になってくれているので暇にならない。
大変助かる。
原作に沿える喜びがあるが、付いていけるか不安なのだ。
付いていてもらえると少しユトリを持てる。
その間に少しでも覚悟を決めておく。

「サンジさんにお礼を言いたいのだけれど………」

キッチンに居るのであろう青年に向けて礼を言おうとベッドから降りようとするとチョッパーがサポートして支えてくれる。
医者らしい行動に微笑ましく思う。
皆忘れているだろうけど精神年齢だけは年長者だからね。
ローよりも年上でロビンよりも年上なわけなのです。
サンジの所へ行くと丁度キッチンを出た廊下でタバコを吹かしていた。
こちらに気付くと気遣わしげにやってきて「出歩いて平気なのか」と聞いてくる。

「優秀な船医さんのお陰です」

褒めるとチョッパーが照れて例の変な格好でお尻をフリフリさせている。
有名な仕草にときめく。

(可愛い!)

チョッパーはマスコット的な存在で前世では商品化されれば人気が出るキャラ。
可愛くない訳がない。
ベポはキャラとして結構な人気があったがチョッパーの方が人気で、リーシャはチョッパー派であった。

「素敵」

心の中でチョッパー好きに頬を緩める己を恥じるなんて事はなく、寧ろ広々として寛げる気持ちで接せられる。
これも麦藁海賊団の人徳、雰囲気の成せる技であろう。

「サンジさん、ゼリーありがとうございました」

サンジにお礼を言う為に此処まで来たのだ。
それを言うために、でなく船の中を見たくてそれを言い訳にして出歩いている。
皆優しいから見て回っても怒らない。
ルフィ達はさっきパンクハザードに降りたったので、居ないから静か。

「わざわざそれを言いに来てくれたんだね」

サンジは優しく微笑み王子ようだ。
彼の壮絶な過去を知っている身としてはルフィ達と笑いあっていたり戦っていたりすると、嬉しくなる。
彼に椅子を進められて話をする空気になって内心「やった」と嬉しくなった。
やはりメインキャラと交流するのはテンションが上がる。

「ーーーで、ーーあはは」

それに、憧れの人達。
謁見えっけん をした様な高揚感と緊張感だ。

(あーっ、もうたまんない)

あまりに焦がれていたからちょっとキャラが壊れているが平常に戻るといつものようになる筈。
彼等にドン引きされぬ様にこの内は知られてはならないのだ。
ルフィは気にしないだろうが常識を持っている面々には好かれなくなるだろう。
細心の注意をせねば。
此処から戦闘になるし、食らいついていかなければ置いて行かれる。
どこまでも付いていくつもりなのだ。

「ん?あう」

眠くなってきて、コレは催涙ガスの仕業、と直感する。
シーザーの部下が漸くお出ましということ。
眠たくなるのに逆らえず瞼を重く閉じた。
結構強めなガスだ。



揺り起こされて意識がふんわりと浮く。
心地良い眠りを妨げられて僅かにイラッとしたが、視界にボヤケたオレンジ色を写して微かに覚醒する脳。
ナミだと認識するまで一分程掛かったが、起き上がるとガヤガヤしている場に漠然とそう言えばそうだったと思い至る。
今は捕らえられているのだろう。
彼等も身に起こった事は分からないが兎に角脱出するつもりで試行錯誤をしているようだ。
その間、その場に声が辺りを巡りそこに顔を向けると変な顔が、生首が話し出すではないか。
嗚呼、確かにこの人もキャラとして出ていた、と記憶を探る。
斬られて話している所を見るとこれをやったのは外科医様々(適当)であるよう。
まー、此処までしておいて生かしているのは情けなのか、たまたまなのか。
さてはて、どうでも良いが。




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