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12


失恋デートの後の一週間が経過した所であるが、いつもと何ら変わりなく、と言いたかったがとても変化があった。
先ずは、朝起こされる時に何故か頬にキスされた。
叩こうと、いや、殴ろうとしたら避けられたが。
朝食の時も何故か向かいでこちらを見つつ食べているという始末。
見られつつ食べるのは食べにくい。
見るなと言いつつ横を向いて食べていると、口元におかずが付いていると言われると当時に指が伸びてきて、止める間もなく相手の口内へそれが入った。
唖然としているとローはニヤリと笑い、してやったりの顔で挑発。
流石に赤面せざる負えなかったが我慢。
相手にこちらの動揺を悟られては足元を掬われるのはお見通し。
ローは最近いそがしくなってきたらしく、何故か両立させている。
別に頼んでもないのに。
頬を付きながら新聞を読み進めていると新人の有名人の記事が乗っていた。
ローにもライバルは居るのか。
気にならないが、ぼんやりそう感じて閉じた。
新聞を横に移動させローを見ると彼はご飯を食べていた。
相変わらずの顔立ちで、特に顔にこだわり等無いがそれでも芸能界に片足を浸していてもやれると感じられる程ではある。
ローはローとしか思えないから今更芸能人とかは思え無い。
只の小学生から知る子という認識にか抱けないだろう。
いきなり同棲の真似事をしてどういうつもりなのだろうという気持ちもあって色々勘ぐってしまう。
一体どういうつもりなんだろう、とか。
やっぱり一筋縄といか、単純な思考でこういう風にしているとは思えない。
でも、あのときの抱き締めてお前の中に入れろという台詞が何度も脳裏を揺さぶる。
確かに一歩後ろに引いていたりして人と接するのを止めていた事は己のことだから分かっている。

「もう行くが。何か考え事か」

コーヒーをドリップした香りがする。
目の前に出されていたマグカップに慌てて受け取る。

「何?」

質問されたが内容を聞いてなかった。

「おれのことを考えてたのか?」

「さあ」

すっとぼけた。
でないと調子に乗るし。

「別に何でも良い。いずれはおれしか想えないようにしてやる」

何か計画をしているニュアンスだ。
いや、今ので何をやろうとしているのか理解した。
結局いつもの事だ。
嗚呼、毒されている。
いつものことだって何。
いつもって言ってもダメダメな事だろうに。
やめてって言うべきことをさも当然で仕方ない風に思うのは慣れというか。

「厄介な事には巻き込まないで。するのなら一人で巻き込まれて」

釘を刺す。
しかし、ローは改める事なく、返事をしないというものにする。
本人がやめてと言っているのに勝手な子だ。
それをまた再び思い出すのはローが学校へ行って帰ってきた時だ。
ラフな格好をし、サングラスをかけていた。
どこぞの有名人みたいなことしてるな、とそのときは他人行儀だったのだが、言っていられない事態へ進んでいく。
車に押し込まれて目を白黒させていると知らない建物、中身はスタジオな所に連れていかれた。

「家へ帰して」

こんな事をされて立腹していた。
こういう強引な事は大嫌いなのだし。
ローだってそこは分かっていると思っていたからミスだ。
じろりと見る。

「ぶん殴るよ」

「しても良い。この顔は言わば商品だ。社長が商品を粉々にしても誰も咎めはしない」

ニヤッとするローにイラッと何度目かのもの。
粉々にしても怒らないとこっちが罪悪感に見回れるじゃないか、ムカつく。
ムカムカと胸が熱くなる。
煮えたぎりかけた気持ちを沸々と溜めておくしかなかったのはスタジオで男性に声をかけられたからだ。
怒鳴ってもどうにもならないと心の底では理解していたので怒鳴るのはもう少し我慢することにした。



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