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- ナノ -

04


某日、ナミ達から花見の誘いを受けた。
ローにもルフィから声が掛かったらしく行くのだと事前に聞いていて、結構な大御所になる事が予想される。
ベポも連れてくるように言われたというローは何処か疲れていたのでルフィに連れ回されたのか、振り回されたのかのどちらかだろう。
面白いので、いつでも振り回してくれても構わないとさえ思う。
ローを振り回せる数少ない青年を密かに心の中で応援する。
それを、まるで心の中を読んだようにローが余計な事思うなよ、と釘を差してきた。
待ち合わせ場所で待っていると一つの大きな車が二台やってきて二台とも止まる。
運転席には大人の男性と少し年上らしい人が居た。
後ろの席の窓から顔を出したルフィが乗れよー、と言ってくる。
どちらが開いているのかは分からないが、ルフィが言った方に乗る事にした。
座席に乗り込むと初めて見る顔があったので軽く頭を下げる。

「ユースタス屋、お前も誘われたのか………クク」

「お前こそ麦藁に誘われて来ざるおえなかった癖に笑ってんじゃねェ!」

どうやら知り合いらしい。
知り合いならば隣に座らせた方が良いのだろう、と赤い髪の青年の後ろに行く。

「よし、これで全員揃ったな」

運転手の男性が言うと車が動き出す。

「おれの兄ちゃんだ!にししっ」

「ルフィくんの?」

運転手の人はルフィの兄でエースと言うらしい。
本来はもう一人兄が居るのだが、仕事で来られないらしい、とルフィ談。
そうこうしていると、赤い髪の彼とローが言い合いを始める。
どうやらこちらは仲が良いのではなく悪いようだ。
席を譲らない方が静かだったかな、と首を傾げる。
ルフィが二人はいつも学校でこうなんだ、と言うので相槌を打つ。
ローにも喧嘩友達が出来たのかと納得。
喧嘩していて言い合っているが、それとなく楽しそうに見えたのでこの言葉遊びを楽しんでいるんだろうな、と思った。
他に、共に乗っていたのはゾロとロビンだっだのでロビンにおはようを告げる。

「うふふ、朝からこんな感じなんて今から楽しみだわ」

「楽しみ、かな?」

「ええ………きっと、もっと賑やかになるわ」

ロビンが周りを見ながら言う。
彼女がそう言うのならそうなのだろう、と思えた。





車が着くと一気に賑やかになった。
二台分の人数がバッと会話し出したのだ。
ナミやサンジは同じ車だったのだから中がどんな感じなのかは想像が付く。
そして、こちらも初見である男性に困惑していると、またルフィが紹介してくれた。

「ブルックだ!」

「隣に住んでんのよ」

ナミが追加で添えると初めまして、と挨拶する。
やはり初めて会う人は緊張する。
今日一日で三人と顔合わせするなんて。
出来るだけ不自然にならない態度で挑まなければと意気込む。
と、思っていたら車の方向へ一人の子がこちらへ犬を連れてやってくる。
ローもベポをゲージの中で休ませている。
犬は茶色でピンクのハットが被せられていた。
走ってきたのは長い鼻を持つ男子でローも見知った風だ。
彼はこちらへ来ると息を弾ませてゼェゼェと呼吸荒くしんどそうだ。
ルフィはそんな人に遠慮無く背中を叩く。

「ゲホ!おれを殺す気か!?」

ウソップと紹介された彼は、こいつも俺の仲間なんだ、とルフィが言う。
そうなんだ、と思いながら頭の中で彼等の事を整理する。
人数が多いので覚えるのが困難だ。
揃ったと興奮するルフィにローが落ち着け、と宥めるが全く聞いている様子ではない男の子は先陣を切って花見の席を確保しに行く。
落ち着きのない、相変わらずの子だなあ、と思っているとナミが溜息を付きながらこちらへ来る。

「ごめんね。こいつらが揃うといつもこうなの」

すまなさそうに言ってくるナミに「大丈夫、私は平気」と言う。
本当の事を言うととても無理な心理状態だ。
何せ十人以上の大所帯で何かをするのも初めてなのだから。
初体験でたくさんの人との花見に緊張しているのか、少し立ち止まってしまう。
その時、手に触れてくる手の感触に横を向く。
ローが隣に歩いていた。
この手はローの手という事になる。
少し揺らして反動で外してみるが全く離す気配がない。
イラついて離して、と小声で言うがローは聞こえていないフリをしているのか、話しさえもしなくなった。
只でさえ疲れかけているのに無駄な浪費をさせないで欲しい。
溜息を何度も付いてから前を見るとルフィが一番乗りで花見の場所を確保していた。
ルフィを見ていると何だか毒気を抜かれる。
ローだって諦めさせてしまうのだから相当な子だろう。
わいわいと騒ぎ出すルフィを宥めるのはナミとエースの役目らしく拳骨と包容で沈静化させていた。

「いいな、あれ」

どこに憧れたのか、ローがぼそりと言う。

「おれも撫でて良いぞ」

「遠慮する」

即答するとローは残念そうに肩を竦めた。
この歳になって高校生の頭を撫でるのは流石に出来ない。
躊躇してしまうのは当然だからあからさまにリアクションしないで欲しいと思う。
それにしてもまだルフィ達は騒いでいる。
主に用意をし出しているのはナミやエース達だ。
リーシャも手伝おうと歩みを速めるとローとの手繋ぎは呆気ない程スルリと解ける。
それに気が付いて後ろを向くとアーバンの瞳と目が合う。

「もう緊張してないみたいだな」

(!)

気付いていたのかと瞠目した。
手を繋いだ理由を知って少しだけ動揺する。
こういう大人ぶる所が憎くも恨めしい。
まだ高校生の癖にと大学生の男子にも感じない恥ずかしさを感じて気持ちを振りかぶる。
こんな事で乱されるのは自分ではない。
切り返しをしようと、気を再び張ってナミ達に何か手伝う事はないかと聞きに向かった。



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