結果的に彼女は俺達を敵だと、海賊だと改めて認識したとしか思いつかなかった。
だが、俺はそこで疑問が浮かぶ。
「船長」
「なんだ……」
船長のやる気のない声に俺はやれやれと内心ため息をついた。
「あと数日で俺達はこの島を出ていくのに、なぜ彼女はわざわざ自分からそんな事を言ったんでしょうか……?」
俺がそう疑問を述べると船長はばっと顔を俺に向けた。
そんな船長を見ながら俺は言葉を続ける。
「彼女が船長にそう言った事に矛盾があります」
俺がそう説明すると船長ははっとした表情をすると顎に手を当てて考えるように下を向く。
「……そう言われると――」
船長はそう呟くと俺の方を向いてすまなかった、と謝った。
「お前にらしくないところを見せてしまったからな」
「いえ……」
(これは驚いた……)
船長が人に謝るところなど見た事がなかった俺は内心驚きながらも返事をした。
(人は何がきっかけで変わるかわからないものだな)
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