19・20
『そっちこそ煩いわよ!あんたのせいで私の可愛い可愛いリーシャが驚いたじゃない!』
ランちゃんは怒鳴り込んで来た人に怯むことなく言い返す。
『「そんなこと知るか!こっちは、ねみィんだよ!」』
私は黙ってしばらく二人の会話を聞いていた。
『そんなことですってェ?!私とリーシャのラブコールを邪魔するなんて100万年早いのよ!!』
その後、ドスドスッという何かが刺さった音がした。
『「っぶねェな!いきなりナイフ投げんじゃねェ!」』
どうやらナイフを投げたのはランちゃんのようだ。
ランちゃんは私と違って、実力はかなりのもので戦闘力は高くて、海軍での階級は“軍曹”だったりするのだ。
『フン、リーシャごめんね!も〜っと沢山話したいけど、変態チューリップがうるさくって…「誰が変態チューリップだっ!!」』
『煩い!!』
―ドスドスッ
『「チッ!!」』
またナイフを投げつけたようだ。
「ランちゃん…さっきから聞こえる男の人って…」
『ユースタス・キッドよ』
私が怖ず怖ずと聞くとランちゃんはサラリと言った。
「え、…ええぇぇぇええ〜〜〜!!?」
私は大絶叫した。
『まァ、聞きたいことはあるでしょうけど…夜も遅いし、リーシャの肌が心配だから今日はもう此処までにしましょ』
「う、うん…」
私達はお互いお休みの挨拶をした後、電話を切った。
切るとき、またランちゃんとユースタス・キッドの怒鳴り声がしてナイフが刺さる音がしたが、私は苦笑いをしながら聞こえないフリをした。
昨日はランちゃんから電話があったおかげで安心して眠れた。
そのまま上機嫌で仕事場へ向かう。
駐屯場に着いてしばらくするとアルマ軍曹が海兵達を部屋の真ん中へ集めた。
「えー、ゴホンッ……、お前達が知っての通り、この島には今、ハートの海賊団が潜伏している。」
アルマ軍曹の言葉に海兵達は頷く。
「ここはもちろん海軍として捕まえたい、ところだが…相手は2億のルーキー。私達が束になっても勝てないことは前回の件でわかっている…ここは一つ、相手が何か騒ぎを起こさない限り手出しはしないことに決まった」
アルマ軍曹の言葉に私達は驚いたが、納得せざるおえなかった。
この前はあっさりとトラファルガーさんに負けてしまったからだ。
「報告は以上だ。仕事へ各自戻るように」
アルマ軍曹がそう言うと海兵達はゾロゾロと持ち場へ戻った。
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