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「ハートの海賊団及びヤード海賊団!正義の名の元に貴様らを逮捕する!!」
私達の指揮官であるアルマ軍曹が、二つの海賊団に向かって、スピーカーで叫ぶ。
「あ"ァ?!うるせーんだよ!」
「……」
ヤードは海軍に向かって怒鳴ったのに対し、トラファルガーさんはチラリとこちらへ向いただけだった。
海賊達の態度に怒りを感じたアルマ軍曹は海兵達に指示を出す。
「撃てェ!」
アルマ軍曹がそう叫ぶと同時に銃を構えていた前の方にいる海兵達が海賊達に撃ち始めた。
銃声の音にビクリと肩を揺らす。
海軍に入ったのはなにも戦いが好きというわけではない。
むしろとても嫌いだし、怖い。
そんな私が何故海軍に入ったのか、それは友人に一緒に入らないかと誘われたからだ。
今は別々に仕事場が離れてしまったので毎日電話のやり取りをしているが、もうそろそろ辞めたいと最近思うようになった。
「うぅ。こ、怖いっ!」
そう言った時だった。
「突撃ィ〜!」
アルマ軍曹が叫んだ。
その声で、他の海軍と共に涙目になりながらも向かっていく。
だが……。
「やっぱり、無理っ!」
今までは小さな小競り合いや市民の問題などを相手にしていたが(と言っても私はほとんど見ているだけだった)今のような海賊同士の大きな争いは初めてだった私には無理だった。
怖くて皆が戦っている中、体がガタガタと震えてその場に立ち止まってしまった。
でもなんとか戦わなくてはと周りを見回す。
その時。
「ん?こんな所に女がいるなァ」
「へ?」
目の前にはニヤリと不気味な笑みをしているヤード海賊船長のドン・ヤードがいた。
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