10改稿
トラファルガーさんに助けられて襲われそうになった次の日に、私は海軍の駐屯所へ出勤する。
半年前からこの夏島へ派遣された。
充実しているか、と聞かれたら。
『はい、そうです』
と私はすぐに答えられない。
なぜなら―。
「リーシャ!もっと早く走れ!」
「はっ、はい〜!」
私が女だという理由で、他の海兵達より扱いが違うからだ。
つまりは嫌われている、と言っても過言ではないと思う。
でも、たまに優しい人もいて、そのおかげでなんとか此処までやってこれている。
話は終わって、何故今私が走っているのかというと、先程駐屯所に海賊同士が陰険な雰囲気になっているという市民からの通報があり、私達はそこへ向かうために走っていた。
しばらくして通報があった場所へつくと先に行っていた海兵の仲間達がいた。
そのせいで向こうにいるであろう海賊達がこちらからは全く見えない。
(あれ、これってデジャヴュ?)
ぽかんと、思っていると手配書を手にパラパラとめくっていた海兵の一人が声を上げた。
「 右側にいるのはヤード海賊団船長、ドン・ヤード!9000万ベリー!」
「9000万って!!」
そんな高額の海賊に海軍は勝てるのかと不安になった。
すると、また海兵の一人が声を上げる。
「左側にいるのが…ハートの海賊団船長、トラファルガー・ロー!懸賞金2億ベリー!」
「えっ」
その名を聞いた時、すごく驚いた。
昨日助けてもらった人物だということにもだけど、何よりその懸賞金の額に、つい声を出してしまった。
二つの海賊が今はどうなっているのか気になり、ググッと足を上げ背伸びをする。
「ん〜!」
やっと見えた。
視界に写った光景に目を見開く。
なぜならそこにはヤード海賊団が何十人もいるのに、ハートの海賊団はたった4人しか、いなかったからだ。
どう見ても、ハートの海賊団が不利に見えた。
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