06
今私は二度目になるピンチを迎えています。
目の前の人物に恐怖しか抱けなかった。
そんなことを考えていると彼は口元に笑みを描いて後頭部に、巻き付けていない手を持って来ると、グイッと私の耳に唇を寄せて囁く。
「なァリーシャ、一目惚れって信じるか?」
そう言った彼の言葉で思考回路は一時停止する。
そしてその言葉を理解した時、体は溶けてしまいそうになるぐらい熱くなった。
「あ、えと…ひっ!ひひひとっ!あぁ、あのっ!」
もう自分でも何が言いたいのかわからなくなってきた。
目の前の人は笑みを深くして、あろうことか顔を近づけてきた。
やっ、やばい…!!
私はどうすることもできずにギュッと目をつぶる。
ポンッ
その瞬間、お尻に違和感が起きて、しまったと感じた。
バッと目を開けた時にはすでに遅く、腰にあったはずの手が私のお尻にあるモノに触れていた。
「なんだこれは…?」
トラファルガーさんはそう言うなりそれをギュッと握った。
「きゃうっ!!」
―ドスッ!
「うっ!」
それを握られた瞬間、あまりの痛さに彼のお腹を反射的に殴ってしまった。
「あぅぅ。ご、ごめんなさ〜い!」
トラファルガーさんの腕が離れるやいなや、謝りながら走り出した。
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