×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

22


彼女−−ユウカがリーシャを知っているような気がすると言ったのもほんの少しの間だった。
だから、直ぐに流れたので安堵する。
そういえば、さっきはキッドの事を知らないと思ったが、手配書で見たことがあると思い出す。

(あの時はローくん不機嫌だったな。会ったら喧嘩しそう)

ありありと浮かぶ。
シャボンディ諸島に付いたら兎に角動揺せずにずっと冷静でいなければいけないようだ。
神経をすり減らす心の準備をしとかなければ。
唇を引き結んで、難しい顔をしているとユウカが気遣わしげに話しかけてくる。
バッと顔の筋肉を緩めて大丈夫だと伝えた。
ユウカは顔を暗くして「話さない方が良かったかもしれませんね」と言うので、そんな事はないよ、と言う。
マンガをもう何年も読んでいない自信にとっては助かる助言だ。
彼女が教えてくれたからこそルフィに会うと分かった。
例えルフィに会うと分かっても、何もアクションを起こす気はサラサラないが。
今はロー達と生きている。

(でも、この物語の主人公はルフィ。異世界から来た理由がもし、彼だったら?)

そう思う事も前からあった。
今も胸のざわめきがする。
何だろう。
よく分からない。




ユウカが遣ってきて一週間が経過した。
特に何の変わりもなく、彼女が居るという事に皆も慣れてきたようだ。
ユウカもこの船に慣れてきたようで自然な笑顔が増えた。
未だにローだけが警戒をしているくらいか。
船長だから、仕方がないと少し諦め気味だ。
でも、リーシャは女同士なのでとても嬉しい。
次の島は無人島だった。
ここではユウカを降ろせないとローがぼやいていたが、自分的には安堵する。
この世界をいくら漫画で知っていても、いざこの世界で生活していくとなると難しいだろう。
お風呂も毎回節約しながら入るし、トイレも現代とはかけ離れている。

「リーシャ、支度終わったか?」

ベポが部屋を覗いて声を掛けてきたのでうん、と頷く。
今日は珍しく無人島の探索に加えてもらえる事になった。
未だ警戒されているあの子は留守だ。
可哀想だが、助けてあげられる程自身の発言力は強くない。
一度ローに新鮮な空気を吸わせてあげたら〜等と仄めかしてみたものの、反応は全く手応え無し。
止む無くズコズコと引き下がった。
こうなると後は時間の問題だろう。
甲板へ向かうと捜索組であるロー達が話し込んでいた。
少し離れた所から見ているとシャチがこちらに気付く。
加えてローとペンギンもこちらに向く。
ベポと並んでいる状態で見ているとローがこちらへ来て、開口一番に「そろそろ行くぞ」と先導してくれた。
動きやすい様にズボンという格好なので梯子も降りやすかったが、やはり高さは半端ではない。
高いところが少し怖くて引け腰になっているとベポが手を伸ばして抱っこのまま下に降りた。
この年でそれをされるとは、いやはや、と恥ずかしくなる。
ロー達はリーシャを囲む様に歩き出す。
守ってくれる気がとても伝わってくる。

「やっぱり、足手まといだったよね」

「いや?気にすんな!お前一人守れねーんじゃ海賊が廃るっつの」

シャチが元気な声音で励ましてくれた。
ベポも肯定して笑う。
探検なのに、何だか楽しい。
暫く歩くと森が開けて、そこでローは立ち止まる。

(?、どうしたんだろ?)

「少なくとも大型の獣はここにはいねェな。ベポ、リーシャと行動しろ」

「アイアイ!じゃあ行こ!」

「あ、うん!ローくん達も気を付けてねっ」

散る為に立ち止まったのだと要約知り、ベポに言われるがまま付いていく。
ローと別行動なんて久々だ。
とても新鮮味を感じつつ頼りになる背中を離れない様に追った。



prev | next