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ローから許しを得てトリップしてきた女の子をリーシャの部屋に泊める事になったので、声をかけてみると首を傾げながらも頷いてもらえたので安堵する。
ベッドに寝て貰おうと最初は進めたのたのだが、相手は恐縮したのか頭を横に振った。
気を遣わせてしまったかな、と申し訳なくなくりお茶とお菓子をたくさん用意して席に座ろうと提案。
相手は怖ず怖ずと席に腰を降ろして、お茶を片手に抱えるとリーシャはすかさずお菓子を相手の目の前にどさりと置く。
こういう時は、相手が取らない何て事も有り得たので先手を打つ。
少し強引に行けば、気兼ねなく話しても大丈夫と思って貰えるかもしれないという自分なりの作戦だ。
相手はこの世界に対して紙の中でしか知識を持っていないし、学生だから海賊という船でホームシックになるかもしれない。
幸いにしてこの子はローの事を知っていたので、差ほど不信感や恐怖は抱いていないようだが。

「このクッキー、私が作ったの。良かったら食べて」

恐々と手を付けて口に頬張る姿に安堵。

「おい、しい、です」

「良かった。遠慮しないで食べてね」

嬉しくて頬が緩む。
緊張に張っていた空気が和らいで、ポツポツと話題を振る。

「えっと。貴女はこれからの未来を知っているんだよね?なんと言う場所で何が起こるのか教えてもらえる?」

「シャボンディ諸島と言う場所です。ルーキーと呼ばれる賞金の億越え達が集まるイベントです」

「億越え?もしかして、モンキー・D・ルフィも居る?」

「!ーーもしかして、やっぱりルフィは居るんですか!?」

いきなり迫ってきた子に驚く。
でも、考えてみればマンガの主人公に会えるというのはその手のファンにとっては最高な事なのだろう。
ユウカはマンガの主人公の名前を出して、興奮しながら話していく。
ルフィやナミ、ゾロにウソップ。
サンジにチョッパー。
懐かしい名前にあまり思い出せない顔がぼやける。
ルフィの顔すらも曖昧になっているから、せめてルフィの手配書があれば思い出せるのに。
少し残念に思いながら彼女の話しに耳を傾けた。
シャボンディ諸島の話しを聞く限り、そこにルフィも上陸するという事だ。
キッドやらキラーやら、聞いたことのない名前ばかりが出てきてメモを取る。
聞き逃さない様に耳を傾けた。
ルフィという少年に会うのは必然となる事を覚悟しなくてはならない。
ローが物語に登場するのなら自分もそこに居るのは確定だろう。
そして、そこにあるメインの物語は奴隷と魚人族の溝の深い歴史の一部らしい。
巨人族や他の種族の掘り下げた物語しか見ていないので聞いていても分からない事が多々多かった。
彼女の話しの合間に休憩を挟んでお茶を飲んでいると、徐に訪ねてくる。

「あの、トラファルガーさんとの馴れ初め……聞いてもいいですか?色々失礼な事を言ったのに、こんな事を言うのも迷ったんですけど」

そろそろ質問されるかな、とは予期したいたのでスラリと出た。

「ローくんとは幼なじみでノースブルーからの間柄だよ」

「成る程。幼なじみなんですね。だからトラファルガーさんがあんなにキレてしまわれたのですね」

泣きそうな顔でそう述べる。
彼女とローの相性は良くないようだ。
残念だが、まだ諦めるわけにはいかない。 
いくらユウカが異世界から来た子であっても、リーシャだって同じ境遇の人。
出来るなら仲良くして欲しい。
いつ帰るかも分からないからこそ、手を繋いでいて欲しかった。
考えていると彼女が唐突に呟く。

「リーシャさんの事、私、見たことある様な気がします。気がするだけですけど」

「え?」

ドキッとした。



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