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- ナノ -

04
翌日、シャチが何の連絡もなしに家に来た。
眠たかったので居留守を使用していると、今度は電話が鳴りだして煩わしい音に二回無視。
しかし、相手もなかなか粘るらしく鳴り止まないインターホンと携帯に、携帯を手に取り通話ボタンを押す。

『今どこにいんだよっ』

「家」

『居留守使ってんじゃねーか!開けろよ!』

「その前に来るとかさ、事前に連絡しろよ……失礼なのはどっち?」

『お、おお……悪かったよ、だから開け、』

−−ピッ

通話を終わらせて仕方なく玄関に向かう。
訪問者の様子を覗き穴で見てみると、肩を落としてショボ暮れていたので鍵を解除してあげた。
顔を上げたシャチは怒られた犬から飼い主を見つけて喜びに尻尾を揺らすように顔を輝かせて、こちらを見てリーシャ!と名前を叫ぶ。
朝から煩い。

「入っていーか?」

「お好きにどーぞ」

もし駄目だと仮に言っても、また駄々を捏ねるのだろうと簡単に想像出来たのでもう入れるしか選択肢はない。

「で、経過はどんな感じだ?」

「どんな感じって、例えば?」

「ローさん、あ……その詐欺師についてだ」

「あんたまだその男をさん付けしてるの
?惨めだから止めとけば?」

シャチの言葉に注意すれば、彼はもごもごと何か言いたそうに口を動かすが、結局何かを言うことはなかった。
信頼していた男を今でも親しげに呼ぶなんて自分を傷付けるだけ。
そう言い聞かせてもシャチはキュッと口を閉口するだけだった。
仕方のない男だと、一つ溜息を零すと改めてシャチに大体を説明する。

「昨日はトラファルガーさんと駅で待ち合わせ、車で移動、喫茶店に行って……その後は買い物……ていうか、雑貨屋に行ったりして喋って……みたいな……てか聞いてる?」

「き、聞いてる……てか、それマジなのか?」

「は?全部本当の事だけど……何言ってんの……後、なんかめっちゃ敬語なくなってて俺様系な話し方になってた。何なのあれ?二十人格かなにか?」

シャチはあんぐりと信じられない話しだ、と目を見開いて真実か否か、と問うてくるので当たり前だと呆れる。
なんの為に嘘を言うのだ。
シャチに説明してから疑問をぶつける。

「いや、あの人はあんな喋り方だし、性格も俺様だ……別に猫被ってねェぜ?」

「ふーん?でもあんなに第二印象が俺様なのによくヌケヌケと騙されたよね、あんた」

「うぐ……それは……まァ……」

痛いところをついて、シャチはガクリとうなだれる。

「あんたはあの男からお金を騙し取られたから、取り返したいんだったよね」

そう言って、改めて確認を取るとシャチはコクリと頷く。

「問題はどうやって相手にお金を出させるか……ここはもう仮病使って騙すとか……」

「相手は現役の医者だぞ、仮病なんてすぐバレちまうって」

それもそうか。

「じゃあ……もう少し親しくなったフリをして……借金があるからお金を貸してほしい……とか」

「うーん……ちょっとなァ……痛い!」

スパンと相手の肩を叩く。

「そんなに言うならシャチが考えれば?」

「す、すみませんでした」


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