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空から現れた招待不明のグラマラス美人はスティックとほうきと三角帽子というルックスだった。
完璧に魔女を意識しているに違いない。
彼女の飄々とした言葉にローは低い声で「これはお前のやったことか」と問い掛ける。

「ええ〜。だってえ貴方達は海賊でしょう?私はこの島に雇われてるのおー」

「雇われてる?冗談はよせ。懸賞金二千万ベリー『魔女』クローウィ」

「あら〜、私の事知ってるのお?奇遇ねえ。私も貴方の事を知ってるわあ〜、死の外科医さん」

とても掴み所のない会話をする二人。
ローが言った言葉を噛み砕くと分かったのは彼女がローと同じ無法者だということだ。
民間人が無法者を雇っているという事実にショックを受けた。

「おれ達はただ島に寄っただけだ。こんな事をお前にされる義理はない」

「だってー雇い主が追い払えと言ったんだものお。追い払うのがあ私のお仕事〜」

「チッ、埒が明かねェ………この場で消してやるよ」

ローは手を前に出してルームと唱える。
サークルに囲まれたクローウィという女性は首を傾げてスティックを、いやステッキを振る。
アニメでよく見るやり方だ。

「っ、な!」

ローと女性が戦うのでローへ攻撃を仕掛けるだろうと思っていたばかりに反応が遅れた。
土が盛り上がった所で手の形をした泥が足を掴んでくる。

「リーシャ!」

「!………てめェ!」

シャチ達の声にこちらの事態を把握したローはクローウィを睨む。

「やあだ、そんな目で見ないで〜?だって貴方強いだろうからあ。だから一番弱そうな子を狙っただーけえ」

泥の腕が地面に体を引きずり込もうと動く。

「や、嫌!」

思わず手で泥の腕を叩いた。

−−ベチャ!

泥が手に付いて気持ち悪い。
無効なのかと腕を見ると溶けるように手の形が崩れていくのが見えた。
その呆気なさに思わず凝視する。

「なあに?私の魔法お………掻き消されちゃったあ………?」

今クローウィは魔法と言った。
悪魔の実ではないのかと思考が掠める。
それに気を取られていたせいで彼女がステッキを振って何かを出すのを見ていなかった。

「リーシャ!避けろ!」

ローの声が聞こえて前を見るとカラスが復活していたのかこちらへやってくる。
大量の特攻物体にどうする術もない。
ひ弱なのが自分の欠点なのだ。
手をクロスして痛さに身構えていると身体が体温に包まれるのを感じた。
薄く目を見開くと見えたのは黄色いパーカー。
ローだと匂いで分かった。
匂いと言っても薬品の類である。
驚いて声が出せないでいるとカラスが鳴く声と羽の音が耳の傍で聞こえた。

(なんで………なんで?)

助ける理由が分からない。
心臓を奪ったのは酷い事をしたいと思ったからだと確信している。
きっとローは理由のない嫌悪を自分に抱いているのだと思った。
船から解放しないのも、苦しませる為。
人が不幸なのを見るのが好きなんだ。

「少し我慢しろ」

それに答える前にローはルームと述べて空へ移動した。
カラスを投げたのは一瞬だったけれどわし掴んだのは素直に凄い。

「メス」

空へ移動した後、一瞬でクローウィの心臓を抜き取った。
クローウィはいきなりの事に不時着する。
派手な音にもしかして、と思ったがローが動く心臓を見せてきて生きていると言った。





クローウィを起こしたローは心臓を見せて脅した。

「雇い主のところへ連れて行け。妙な真似をしたら………」

持っている四角い物の形が僅かに変形する。

「うああ………!痛いっ!」

心臓を握ったローにクローウィは分かったと答えた。
リーシャの心臓をここまで手酷く扱った事がなかったので、初めてみる拷問の風景に雷が落ちる。
凄く痛そうだ。
舐めるのかと思ったのだが外れた。

「この島の奥よお………もおう、なんて酷い人なのかしらあ………ふうー」

ぽってりとした唇から溜息を吐くクローウィの神経の図太さに舌を巻いた。


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