×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
 
64


「はァはァ……!!――やっぱりな……」


全速力で走り息の上がったローは海を見渡し、ずっと探していた人物を視界に捕らえる。



「リーシャ……」

名を呼ぶとゆっくりとこちらに振り返る彼女。



「トラファルガーさん……」


その表情はなんの感情も感じとれないような無表情だった。


「探した」


「知ってます」


わかっていたのか。
ローはわかっていて見つからないように姿を眩ませていたリーシャにやはり決別の意を感じた。



「すまねェ……」


「貴方が謝る必要なんてありませんよ」


ローとリーシャの距離は離れていて、今の自分達のようだとローは悲しくなった。

悲しいという感情がある分、つらいのだ。

自分のせいで彼女の背に背負う何かを増やしてしまったのかと。

けして悲しいという感情や一度も涙を見せなかった彼女。


「もう船には乗らねェのか」


「はい」


坦々と機械的に話すリーシャにつきりと胸が痛んだ。


一歩一歩、彼女に近付こうと歩み寄る。



「っ、来ないでください!!」


「!……」


感情を吐き出した、初めて見た表情だった。


だがローは歩みをやめなかった。



――バシャバシャバシャ……!



「………」


リーシャは近付くローから離れるように海の中へと入ってしまった。


しかし、なお歩き続けるロー。

するとその頬に一筋の血が流れた。

なにか鋭利なもので切られたように。





「これ以上くるなら貴方を殺します」


その言葉に頬の傷は誰がつけたかは理解できた。



しかし、ローは無表情のまま足を止めることはなかった。








***






本当は傷つけるつもりなんてなかった。

でも、トラファルガーさんがこちらに来ることを感じ先手を打ったのだ。



自分の領域に入ってくる彼が怖かったのかもしれない。


危害を加えたというのに、海に入ったというのにどうして来るの……?



「貴方は悪魔の実の能力者。海には近づけない」


でも私は違うから海に入れる。


「それがどうした?」


「……!?」


意味深な言葉を言ったトラファルガーさんは信じられないことに――。


prev next
[ back ] bkm