船長が捕まっていた建物を出た俺は一旦船に戻りクルー達にリーシャを探すように指示を出した。
当たり前のようにクルー達は疑問を抱いていたが、船長の一存ということもあり何も言わずに探し始める。
その後俺は航海士と話しをして出航の時間を延ばすように頼んだ。
「船長」
「なんだ」
俺は町に行く準備をしながら船長に聞いた。
「もしリーシャが見つかったとして、その後はどうするんですか?」
「………」
俺の問いに船長は黙ってしまった。
「……見つけた後の事は考えてねェが――」
下を向きながら言葉を続ける。
「このままあいつに会わないなんてことできねェんだよ」
「……それは?」
よくわからなかった俺は意味を聞き出す。
「あいつが俺をローじゃなくトラファルガーと呼んだ。それは俺と会えなくなるとわかっていて助けに来てくれたっつーことだ」
「確かにそうですね……」
リーシャの行動や言動を聞くと予期していたのだと想像できた。
「だから俺はあいつと会わねェといけねェんだ」
船長は何かを決めたように手を強く握り締めた。
壊れかけているのは果してどちらなのか
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