×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
 
59


過去を語るのは自分にとって、罪を認め受け止めているから。

人は涙もろく、恐怖を感じるのは当たり前。

じゃあ私はいつから何も感じなくなったのだろうか――?



***



リーシャが十二歳になった時だ。

自分の姉は十七歳で既に酒場で働いていた。

別に体を売ることではなく、普通にウエイトレスとして純粋に働いていて、私達の生活は順調だった。

ある日、特別にリーシャも酒場で少し働かせてもらい姉の負担を減らそうと頑張った。

マスターは気のよい人で祖母の古い友人であり、私達の面倒を少しばかり立ててもらっていた。

そんな日に、悲劇は起こった。

――ドゴォン!

扉が乱暴に開け放たれ、銃を持った男達が入ってきた。

海賊だと察知した姉は咄嗟に私をカウンターの下に押し入れる。

「俺達は海賊だァ!」

「ここにあるもん全部持ってこい!」

どう見ても酔っ払っていることがわかった。

マスターも姉もビクビクしながらも言うことを聞く。

「んァ?こいつァ綺麗な女だなァ!」

俺の一人がそう呟くと汚い手で姉の腕を掴む。

「きゃっ……や、やめて下さい!!」

姉は抵抗したが全く効果はなく、マスターが慌てて止めに入った。

「お、お客様困ります。どうかその子を離して……」




――ガゥーン!


マスターが言い終わる前に俺が懐から拳銃を取り出しマスターを打ち抜いた。

「う、ぐっ……!」

マスターは膝をつき、痛みに悶える。

「マ、マスター!……離しください!」

姉は叫ぶと男の腕に噛み付いた。

私はずっと震えながら見ているしかなかった。

「ぐァァ!……このアマっ!!」

男の手が緩んだ隙に姉はマスターに駆け寄る。

しかし、辿り着く前に男が姉を――。




撃った。

私はその光景に瞬きをすることも忘れ、スローモーションのようにゆっくりと倒れていく姉を見る。

叫びたいのに叫べなかった。

助けたい。

手を伸ばしたい。

姉の後ろには拳銃から煙を出し怒りに顔を歪める男。

ドサリ。

はっと気づいて姉を見れば、まだ意識は残っていて、痛みに汗を流しながら私に目で来るなと強く言われる。

もう何も考えたくなくて、頭が真っ白になり私は意識を失った。











あの日に戻れるのなら


prev next
[ back ] bkm