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「チッ……」

この状況にぶつけることのできない苛立ちを感じた。

「――この状況で舌打ちなんて、見ていて実に愉快だね」

その声にローは怠い体を少し動かし相手を睨みつける。

「そんな姿で睨まれても怖くなんてないさ」

くすりと気味の悪い笑みを浮かべる男はなんでも有名な賞金稼ぎらしい。
雑魚だと思い、油断したことに悔やむ。

「君の仲間はいつ助けにきてくれるのかな?あぁ、でも君がその海桜石をつけている限り下手に手をだせないか」

ギュと拳を握る。
男の言っている通り、今のローは海桜石の手錠をはめられており、能力が使えない。

「君のおかげでロンと言う僕の名前がまた一つ有名になる」

男――ロンは嘲笑いながらローを見下した。
今回ばかりは本当にやばいと感じる。

――ガタンッ

「なんだ?」

扉の向こう側からした音にローとロンは首を向けた。

「なにかあったのか」

ロンは扉の向こうにいる見張りに向かって声を掛ける。
しかし、返事はなく代わりに扉がゆっくりと開く。



***



扉が開いた時、ロンがいらついたように声を上げた。

「何があったと聞いてい……!!」

ロンは言葉をなくしていき、驚いていた。
ローも同じく、入ってきた人物に目を見開く。

「何者ですか?役立たずな見張りはどうしたのですか」

ロンは焦りもせず、皮肉げに問い掛けた。

「………」

たが、相手は何も答えない。
それにロンはいらつき、ローはなぜここに、と思っていた。

「答えないつもりですか、あぁ……もしかして貴方のお仲間ですか?」

ローの方へ問い掛けてきたが、ローは首を横へ動かす。

「こいつは関係ねェ。……リーシャ、なんで来たんだ」

その人物は紛れも無いリーシャだった。
フードで顔が見えないが。
しかし、リーシャは何も言わない。
ただそこに立っているだけだ。

「成る程……女性ですか――」

ロンはそう呟きながらリーシャに近づく。

「そいつに近づくんじゃねェ」

ローは咄嗟に声が出た。

するとロンは動かしていた足を止め、一瞬でローの目の前に現れ鳩尾に入れられる。

「ぐ……!」

「貴方は自分の立場をわかっていないようですね」

男はまた気味の悪い笑みを浮かべた。
そんな男の姿は人間の肉体ではなく、獣のような肉体をしていた。
いや、実際にこのロンという男は悪魔の実の能力者なのだ。
ローの苦しみに満ちた表情を一瞥すると、再びリーシャの方へ顔を向け言葉を発した。

「驚いたでしょう?僕はネコネコの実の能力者でモデルは“ウンビョウ”というヒョウの仲間なんですよ。さて、これで貴方も僕には勝てないとわかってもらえましたよね?」

「………」

ロンは薄ら笑みでリーシャに問い掛ける。
だが、リーシャは一言も言葉を発っしない。
そんな反応にロンの機嫌が悪くなる。

「無視とはいい度胸ですねぇ……」

ロンはふらりと一歩踏み出すとまた体を変型させ、リーシャの目の前に一瞬で移動する。

「――リーシャ逃げろ!」


叫んでもピクリとも動かない彼女。
一体彼女はどうしてしまったというのか。
ローがそう疑問に感じているとリーシャに動きがあった。
彼女は自分の被っているフードに手を掛けたのだ。










真実が明かされるときがきた


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