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LAW Side
俺は、別に彼女についてどうこう口を挟むつもりはない。
「なァ、リーシャ」
俺は本題に入ろうと口を開くと、思ったよりも感情がそのまま出たような声を出してしまった。
「はい?」
彼女は俺の心情に気がついたのか、不思議そうに返事をした。
(言ってどうするんだ……)
俺はそう思いながらも、口に出す事をやめなかった。
「最近、クルー達がお前の事を勧誘していると聞いたんだが」
俺がそう言うと彼女は困ったようにはい、と苦笑いしながら答えた。
(やはり、か)
シャチが、それっぽっい事を言っていた事が気になって聞いてみれば、案の定そうだった。
(あいつら勝手に勧誘しやがって……)
俺が顔をしかめると、彼女は何を勘違いしたのか、
「あっ!別にいやとかじゃないですよ!ただやっぱり、私はしがない旅人ですから何かと皆さんの迷惑にもなりますし」
「そんな事はないと思うがな」
「えっ」
俺はいつの間にか、リーシャの言葉に声を出していた。
(なにを言っているんだ俺は)
自分自身の発言に驚き、俺はどこかで、もういいか、と思いながら続ける事にした。
「あいつらは、お前が思っている意味とは違う理由で乗せたがってんだよ」
俺がそう言うと、リーシャはぽかんとした顔をしながら俺を見ていた。
(面白いな)
俺はリーシャの顔を見ながら微かに口角を上げた。
「お前が必要なんだよ、クルー達は」
(いや……俺も、か、)
俺は内心言葉を付け足して、最後にそう言うとリーシャは黙ったままこくりと頷く。
俺はそんな彼女を見ると、微かに笑みを漏らしながらコーヒーを飲み干した。
彼は知らない内に自分自身の感情を伝えた事に気づかない
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