×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
 
47


私の過去をローさんに話した翌日に、何故かクルー達が私を勧誘し始めた。



「あ、リーシャー!」



この声はベポさんだ。
ベポさんは私に手を振りながら、私の前まできた。



「あ、あのね……リーシャはずっとこの船に乗っていたいなー、とか思わない?」



私はまたか、と苦笑いした。



「残念ながら、私は乗りません……」



私がそう言うと、ベポさんはそっか、と肩を落とした。



ベポさんが船に残ってほしいと思っている事は一目瞭然だった。



(ベポさんだけじゃない……)



実は朝からもう何人ものクルーから「ずっと乗る気はないか?」と同じような事を聞かれている。



(でも、なぜ?)



私はいきなりそんな事を聞いてくるクルー達に疑問を浮かべた。








「あ、シャチさん」



私は近くにいたシャチさんを呼び止めた。



「なんだ?」

「あの、どうして皆さんは私を船に置きたいのか知っていますか?」



私が尋ねると、シャチさんは照れながらも教えてくれた。



「ほら、えっと……、リーシャは俺らが酒で潰れた時に毛布を掛けてくれたりしたろ?その気遣いっつーか……まァ、一番の理由は俺が聞いた話しだけど、無人島で俺が遭難している間に、船で色々あった時にリーシャが士気を立て直したのが決定的だったみたいだぜ?」

「そうだったん、ですか……」



私はそんなふうに思われる人間ではないのにな。



シャチさんは話し終えると、仕事があると行ってしまった。



「気遣いか…」



シャチさんの背中を見ながら、私は複雑な思いで呟いた。


prev next
[ back ] bkm