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リーシャは相変わらず海を見詰めたまま、感情の読めない目をしながら話し出した。



「私が10歳の時までは祖母と暮らしていたんですが、その1年後に他界して、姉と2人だけになりました。姉は6歳上だったので、すでに少し遠くにあった酒場で働いていました。生活はとても裕福とはいえないけれど、幸せでした。」

「………」



黙って彼女の話を聞いていると彼女は一旦言葉を切り、でもと声を落とした。



「酒場に来た海賊に殺されました」



彼女の声が海に静かに響く。俺がその声の余韻を聞いているとリーシャはこっちを向いてこの話は終わりだと言わんばかりににこりと笑った。



「あまり人に聞かせて嬉しがる話ではないのでここまでしか話せませんが」

「いや、十分だ。思い出させて悪かったな」

「いえ」



俺は彼女の話を聞いて、正直海賊に家族を殺されるという話はありがちだな、と思った。



(でも、やはり12歳は早いな)



同情なんて、同じ海賊の俺がするなんておかしいが。俺はそう考えると、彼女に顔を向けた。



「12歳でよく一人旅ができたな?」



俺がそう言うとリーシャはあぁ、と呟いた。



「行く先々で、色んな人に体術とかを教えてもらったのでなんとか一人で生きていけたんです」



俺はそうか、と言いながらも違和感を覚える。
だが、得に気にする事もないだろうと思い、放っておいた。



「じゃあ、私はそろそろ自室に戻りますね」

「あァ」

「お休みなさい」



俺は返事の代わりに薄く口角を上げる。
彼女は意味を理解したのか少し笑って俺に背を向けた。





彼女は何を背負って生きているのだろう


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