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シャチが無事に帰還したその日の夜にハートの海賊団では宴が開かれていた。
「シャチィ、お前怪我してんのに酒飲んでいいのかァ?」
すでにアルコールが回っているクルーがシャチにそう聞いてきた。
「こんなの酒の内に入んれーよ……!」
シャチも相当飲んでいるようですでに呂律が回っていなかった。
「なに言ってるんだ、悪化するに決まってるだろ。もう止めとけ」
ペンギンがそう注意するとキャスケットは大丈夫だ!と手をひらひらさせた。
「リーシャはお酒飲まないのぉ〜?」
リーシャがテーブルの端っこでジュースを飲んでいるとベポがふらつきながらやってきた。
「私はお酒は飲めないですから」
と言うとベポはそういえばそうだったねぇ、とリーシャの隣に座った。
「……ベポさん?」
そのまま動かなくなったベポを不審に思い、声を掛けながら顔を覗き込むと寝息を立てながらすやすやと寝ていた。
リーシャはその姿にくすりと笑いを漏らすと、部屋の中を見回した。
(ローさんがいない……)
リーシャがそんな事を思っていると、それが顔に出ていたのかペンギンが声を掛けた。
「船長なら甲板にいる」
ペンギンがリーシャにそう言うと、驚いた顔をした後、ペンギンにありがとうございます、と言いリーシャは騒がしい部屋から静かに出て行った。
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