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そうして俺が岩の上に腰を下ろしてから数十分経った時だった―――。



――ガサッ



突然周りの茂みが揺れ、俺はさっとナイフを構える。
するとさっき見た肉食獣達が囲むように茂みの中から出てきた。



「俺も運がねェな……」



おそらく、船長達が俺を探し始めるのは早くても明け方だろう。
俺がそんな事を考えていると、名も無い肉食獣が唸った。



「ハッ、俺も此処までかな」



だけど、簡単に俺の命をくれてやるかよ。
俺は死を覚悟しながらもナイフを構え直した。



「ガァァァー!!」



肉食獣は歯を剥き出して今にも俺に襲い掛かりそうで。





――その時だった



「グゥ!?」

「ガウゥー!!」



突然、周りを囲んでいた肉食獣達が奇声を上げて逃げるように、茂みの中へ走り去った。
まるで、自分達よりも恐ろしい何かから逃れるかのように――……。



「なんだってんだ……?」



俺は何が起こったのかわからないまま立ち尽くしていた。



――ガサガサ




再び茂みから音がし、またかと思いながら、俺は身構える。
するとゆっくりと何かが出てきた。
最初は暗くて見えなかったが、ちょうど月の光が当たっている場所があり、そこへ何かが足を踏み入れた時その姿が目に写る。







「オ……オオカミ……?」




そう、オオカミだったのだ。
普通のオオカミと大きさも変わらない、ただのオオカミ。
ただ、一つだけ違うというのならば、それは目の色がルビーのように赤かったということだ。
俺は信じられなかった。
先程、俺に襲い掛かろうとしていた肉食獣達は、このオオカミに恐れをなして逃げていったのか、と――……。







ルビーのように赤い目になぜだか俺は引き込まれた


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