38
私はローさんの部屋を後にすると、ベポさんの部屋へと向かった。
――コンコン…
「………」
返事がなかったので直接話す事にした。
「ベポさん入ってもいいですか?」
「……うん」
ベポさんの言葉に部屋へ入ると、最初に目に写ったのは、ベッドの布団が大きく膨らんでいる姿だった。
私は余っているベッドの端っこに座った。
「……シャチさんなら大丈夫ですよ」
「……うん」
いつもの明るく元気な姿はなくただ弱々しい声だけが聞こえた。
「ベポさん……」
私が呟くと、ベポさんは布団から顔を覗かせた。
「俺が……俺がもっと強かったら、こんな事にはならなかった」
ベポさんはそのままの状態で話始めた。
「そんな事ないですよ」
ベポさんは私の言葉に首を横に振った。
「俺は弱いんだ……本当はキャプテンが俺の事を心配してあんな事を言ったんだって後から気づいたんだ」
私はベポさんの言葉にローさんが思っているよりもちゃんと理解していた事に安心を覚えた。
「あの時はキャスケットを助けに行かないとってそれしか頭になかったんだ。けど、今考えると馬鹿な事を言ったって気が付いた」
「………」
「だから部屋に戻った後、冷静になってずっと考えてた」
まるで自分に言い聞かせるように言っていた。
「これからはもっと厳しい航海になるから……、だから俺、もっともっと強くなって皆を守れるようになりたい……!」
ベポさんは布団をギュッと握った。
「頑張ってくださいね」
私はその手を握りながら笑い掛けた。
「うん!心配かけてごめんねリーシャ……」
「いいえ、元気になってくれてよかったです」
ベポさんは布団を退かし、私を抱きしめた。
「ありがとう、ありがとうリーシャ……!」
私も嬉しくなってベポさんの腰に腕を回し抱きしめ返した。
貴方が元気になるなら私はいくらでも言葉にするから
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