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- ナノ -
 
35


ベポさんは顔を下に向けたまま部屋へ戻っていった。
クルー達はそれを黙ったまま見ていると次に動いたのはロー。
ローは一度も振り返らないまま自室へ戻っていく。





***





「「「「…………」」」」


ローさんが出て行った後も船の空気は悪かった。


「きっと……きっとキャスケットさんは無事ですよ……!」


私はこの空気をどうにかしようとした。


「リーシャの言う通りだ」


私の言葉を聞いてペンギンさんもクルー達に言ってくれた。


「今までも色んな苦難を乗り越えてきたんだ。シャチを信じよう」

「そ、そーだよな!」

「あァ!あいつは殺しても死なねェ男だからな!」


ペンギンさんの言葉で次第にやる気を取り戻したクルー達の声が周りから聞こえてきた。


(よかった……)


先程の空気はどこかへ行き、リーシャは心の中で安堵した。






***




「感謝する」


クルー達がシャチさんを探しに行く準備をする為にそれぞれの持ち場へ散っていき、誰もいなくなったところにペンギンさんが私の前まできた。


「いえ、たいしたことはしてませんよ」

「だが、おかげでクルー達が前向きになった」

「それに関しては私もホッとしています」

「船長があんな状態だから余計に助かった」

「そうですね……」


ペンギンさんの言葉に私はふいにローさんの事が少し心配になった。


「私、ローさんの様子見てきますね」

「あァ、助かる」


ペンギンさんはそう言うと、私の頭に手を置いてぽんぽんと撫でた。







微かにペンギンさんが笑ったような気がした


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