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しばらく歩いていると突然ローさん達が立ち止まった。
「どうしたんですか?」
「……囲まれている」
「!」
その言葉に私は周りを見
回した。
「暗くて見えませんね…」
「多いな」
「気配からしてかなり大きいですね」
ローとペンギンはリーシャを囲むように動いた。
「リーシャ、俺達から離れるな」
「はい……」
私がそう言うのと同時に、しげみの中から数十匹はいるであろう、獰猛そうな肉食獣達が出てきた。
「お、大きいです…!」
私達の数倍はある。
「船長いけますか?」
「当たり前だ」
「そうですね」
ペンギンとローは互いに目配せをした後、ローは手に持っていた刀をスラリと抜いた。
***
ローさんが片手を前に出して“ROOM”と呟くと、私達の周りを薄い膜のようなサークルが囲んだ。
「!……これは」
「大丈夫だ」
ペンギンがそう言った後、ローさんを見ると彼はニヤリと笑いながらこう言った。
「気を楽にしろ、すぐに終わる」
その言葉通り、一瞬で片が付いた。
肉食獣達はローさんが刀で空気を切った瞬間、まるで本当に切ったかのように体がバラバラになった。
その後も普通に動いていたが。
ローさんは刀を鞘にしまうと船に戻るぞ、と言ったので私達は元来た道を歩き始めた。
「あの、さっきのは一体……」
横にいるペンギンさんに聞いた。
「さっきの事は……、船長は悪魔の実の能力者だ」
「悪魔の実…!」
「そういやまだ言っていなかったな」
ローさんはニヤリと笑いながら私達の方へ向いた。
「はい…確か、超人的な力が手に入る代わりに海に嫌われる、と聞いた事があります」
「その通りだ。つまりは俺が海に落ちれば死ぬ」
「そうだったんですね……」
私はローさん以外で能力者を見たことがなかった。悪魔の実を食べた者が海に嫌われるというのは本当だったらしい。
***
私達が船へ戻ってくると見張りのクルーがやって来た。
「予定より早かったですね?」
「あァ、途中で獰猛な肉食獣が襲ってきたから早めに切り上げたんだ」
ローさんが説明するとクルーは驚きの声を上げた。
「ベポとキャスケットは戻ってきているか?」
ペンギンさんがそう言うとクルーは首を横に振った。
「そうか……」
ペンギンさんがそう呟くとローさんはクルー達にこれからの事を指示した。
私は所詮傍観者である事に変わりはない
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