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クルー達としばらく話していると、ローさんが口を開いた。
「お前ら、こいつの怪我はまだ治ってねェ、だから今日はここまでだ」
ローさんが言い終わるとクルー達は私に別れの言葉を一言ずつ言って自分達の仕事へ戻っていく。
私はというと、またローさんに横抱きにされてベッドへ戻される。
もちろん恥ずかしかった。
「そういえば、この部屋は医務室なんですか?」
改めて部屋を見回すと、本棚に医学書がビッシリと入っていた。
「いや、此処は俺の部屋だ。ちなみに俺が船医をしている」
「え!それはすごいですね……!」
船長というだけでもすごいのに船医も受け持っているなんて。
私はそこでふと疑問が生まれた。
「あの、ローさんの部屋という事はこのベッドはローさんのですよね……?」
私はローさんのベッドを知らない間に使っていたという事になる。
そう考えた私は申し訳なくなった。
「すいませんでした……」
私が謝るとローさんは気にするな、と言って私の頭をポンポンと撫でた。
「もう寝ろ」
「はい……」
私が笑いながら返事をすると、ローさんも笑みを浮かべる。
私はローさんの様子を見ている限り、私が歌っていた夜に何も見られていないんだと思い安心した。
秘密を胸に眠りに就いた
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