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俺はリーシャが撃たれて気を失った後、ベポと一緒にリーシャの怪我の治療をするために船まで走る。
リーシャが目を覚ましたら何を話せばいいかなんて、今はどうでもいい。
ただ連れて行くしかねェと思った。
ベポは俺と走りながら目に涙を溜めて、リーシャは助かるかと聞いてくる。
「ベポ、大丈夫だ。クルーにリーシャの事を伝えろ」
俺が言った後、ベポは船の見張りをしていたクルーに事情を伝えた。
クルーは驚きながらも治療の準備をした。
俺はその間、リーシャをベッドに寝かせる。
その後ベポが来て、なぜリーシャが撃たれたのかを説明した。
「つまりお前を庇ったんだな?」
「うん。俺、いつの間にかリーシャが後ろにいてびっくりした」
「そうか……」
俺はリーシャの手当をしながらベポの話に相槌をうつ。
手当し終わった後、俺は少し考えてベポに言った。
「ベポ」
「どうしたのキャプテン?」
「このまま船を出航させるようにクルー達に伝えろ」
「え?!でも……」
「船長命令だ」
「アイアイ……」
ベポは不服そうな顔で部屋を後にした。
それを確認した俺は寝っているリーシャを見つめ、
「俺が船を出した、と言ったらお前は何と言うんだろうな、リーシャ……」
誰に言うでもなく呟いた
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