15
「服……ありがとうございました」
「かまわねェよ」
ローさんがそう言った後、さっき買った服が入った袋をベポさんから受け取ろうとすると
「重いものは男に持たせておけ」
とまたもやスルリとかわされてしまった。
その時の事をベポは語る。
その時のキャプテンは顔がすごく楽しそうで俺、目を疑った…と後にベポはクルー達に言っていたとかいないとか……。
話を元に戻すとしよう……。
服屋をでたリーシャ達はその後もいろんな店をまわった。
そしてお腹が空いてくる時間になる頃ローさんと二人で近くにあったレストランに入った。
ベポさんはさっきまでいたんだけど用事があると言って先に帰ってしまった。
「いらっしゃいませー、ご注文はどうされますか?」
「ハンバーグセットをお願いします」
「コーヒー」
「かしこまりました」
店員さんはそう言い厨房の方へ入っていった。
「疲れましたね、付き合ってもらってありがとうございました。」
「いや、俺も楽しめた」
「それはよかったです」
私が言った後タイミングよくテーブルにおいしそうなハンバーグセットが運ばれてきた。
「わぁ……おいしそう。ローさんは何か食べないんですか?」
「俺はコーヒーだけで十分だ」
「そうですか?…では食べさせて頂きますね?」
私はそう言って食べはじめた。
半分まで食べたところでローさんが私を見ていることに気が付いた。
「どうかしましたか?」
「いや……おいしそうに食べると思ってな」
そう言うローさんはいつものニヒルな笑みではなくて穏やかな顔をして笑っていた。
「そ、そうですか?そんなこと言われたのは初めてです……」
今の私の顔は真っ赤だと思う。
「フ……まぁ気にするな……」
ローさんはおもしろそうに笑いながらコーヒーに口をつけた。
私がハンバーグを食べ終えた後、ココアを頼んだ。
「ココア好きなのか?」
「はい!甘くて心が落ち着くので……ローさんは?」
「俺は甘いものは飲まない」
「そうですか、私もコーヒーは苦いので苦手です」
二人でたわいもない話をする、私はこうゆう時間が好きだったりする。
まだ会って少ししか経ってないけれど、ローやハートの海賊団の人達といると楽しく感じることが多くなった。
「そういえば、あと何日でログが溜まるんですか?」
「あと六日だな」
「そうですか、まだ皆さんと沢山話せますね」
私はもうそんなに経っていたのかと時間の経つ早さを感じた。
***
「そうですか、まだ皆さんと沢山話せますね」
そう言った彼女の言葉に俺はあと六日しか会えないんだと思ったことに驚いた。
俺はいままで女一人に執着や興味を持ったことなんてなかった。
そんなことをしなくても女の方から勝手に寄ってきた。
いままで見てきた女はしつこいやつもいて面倒なものばかりだと思っていた。
でもリーシャにはそんな感情は浮かんでこない。
むしろ居心地の良さを感じた。
(俺にもこんな感情があるんだな……)
ローはそう自分に自嘲するとコーヒーに口を付けた。
[ back ] bkm