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「お久しぶりですね、ローさん」

「あァ、楽しんでるか?」

「はい、おかげさまで。皆さんやさしい方ばかりですね」



そう言いながら笑うとローさんも口を吊り上げた。



「フッ……久々の客だからあいつらも浮足立ってんだろ」



嬉しそうにクルー達を見るローさんを見て、改めてこの船の船長なんだと感じる。
その後も夜遅くまで宴は続いた。




宴が終わる頃には船員のほとんどが酔っ払ったまま寝ていた。
私はその様子を見て酔っていない人に毛布を貸してもらえるようにたのんだ後、寝ている人達に毛布を掛けていった。
ベポさんも気持ち良さそうに寝ていて、その横にはシャチさんがいびきを欠きながら寝ていたから、私はつい笑ってしまった。
するとそこへペンギンさんが来た。



「わざわざすまないな」

「いえ、今日はとても楽しかったので少しのお礼です」



私がそう言うと彼は穏やかな声でそうか、と言って私の頭を撫でて向こうへ行ってしまった。
私はそれをボーッとしながら見ていた。
それから私は風に当たろうと思い甲板に足を向けた。
甲板へ出ると気持ちのいい風が吹いていて月が夜の海を照らしていた。
しばらく海を眺めているとコツコツと誰かの足音が近づいてきたので振り返った。



「よォ」



そこには口元に笑みを浮かべているローさんがいた。



「うちのクルー達に毛布を掛けてくれたんだってな」

「はい……あのままじゃ皆さんが風邪を引いてしまうと思ったので」

「うちのクルー達はそんなにやわじゃないがな」

「ふふっ…そうですね」



私が笑うとローさんも笑った気がした。




それからしばらく二人で話しているとローさんが「今日はうちに泊まらないか?」と聞いてきたので私はその言葉に甘えさせてもらうことにした。
私が二つ返信をするとローさんは私が泊まる部屋まで案内してくれた。



「俺の部屋は隣だ、なにかあったら言え」



ローさんはそう言うと自分の部屋へ戻ろうとしたので私は慌てて引き止めた。



「あ、あの!」

「なんだ?」

「おやすみなさいローさん」



私がそう言うとローさんは一瞬驚いた顔をしたけれどすぐにいつもの笑みに戻ると「あァ」と返信をして船長室へと入っていった。
私も宛がわれた部屋へ入るとそのままベッドへ行き眠りに就いた。


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